天狗岳(19/06/29-30)


 ☆天気

6/29:曇りのち雨(稜線上は強風)

6/30:雨

☆コースタイム

6/29:茅野駅0920===1017渋の湯1045---1135分岐1145---1245黒百合ヒュッテ1315---1505東天狗岳1515---1635本沢温泉

6/30:本沢温泉0720---0820しらびそ小屋0825---0930稲子湯

☆行動と感想

(出発前)

前回の山行での寝坊を踏まえ、この山行から初の試みとして、私自身を強制的に前泊させることになった。自業自得なので、異論はない。部員たちと虫たちが詰め込まれた、いやに蒸し暑い部室はお世辞にも快適とは言い難い。しかし、私はあっという間に眠りについてしまい、先輩のアラームで目を覚ました。どうやら私は眠るのが得意すぎるらしい。

タクシーの予約が取れないことから、行動開始の地点は麦草ヒュッテから渋の湯に変更された。現地に着くと、暴風雨の天気予報から登山客は少なかったのだが。一橋山岳部でも一時は中止も考えられたが、暴風・大雨体験会として続行が決まる。日曜日は特に西風が強くなると予想されていたので、硫黄岳に向かう稜線上での行動は控えられた。代わって計画された、本澤温泉から硫黄岳までのピストンも当日の判断に託されることに。

1日目)

バスを降りて簡単な昼食を済ませれば、レインウェアを羽織った先発隊が急な登りに向かい始める。私もCLに続いて黙々と急斜面を登っていくが、息は全く乱れない。運動経験が乏しく、雲取山での確定合宿でもひどい息切れを起こしていた、あの時の自分とは明らかに違っていた。小さな成長に驚きながら、少しの休憩を挟んで、再び岩の上を軽快に歩き始める。湿って苔も生えた岩は滑りやすく、体勢を崩してしまう場面が何度かあった。岩のように揺るがずに歩く、目の前の先輩についていくのが、今の精一杯である。

黒百合ヒュッテのラーメンを必死に振り払って稜線上に出ると、代わりに強烈な風を食

らわされた。深い山霧で何の景色も見えないが、暴風の中で稜線上を駆けていく新鮮な感覚は息と心を乱れさせていった。ここで一旦休憩。凍える体を震わせながら後発隊を待ち続けるも、声しか届いては来ない。それは、先・後発隊で休憩の間合いが違っていたり、後発隊が動画撮影に時間を費やしていたからであった。隊間での意思疎通には改善の余地があると、まさに「体感」した。

東天狗岳に登頂後、白砂新道を通って本沢温泉のテント場へ向かう。風は相当強まり、雨も降り始め、天候は暴風雨と化していた。にっこり笑ったてるてる坊主からも雨水が滴る。新道は不明瞭な道が続き、CLの先導が無ければあっという間に迷ってしまいそうである。雨に濡れた眼鏡は煩わしく、苛立ちと視界不良は怪我を招いた。幸いにも大事には至らなかったが。身体よりも頭をまず冷やすべきであった。

やっと本沢温泉のテント場に到着。畳まれたテントに思わず溜息。それはさておき、日本最高所の温泉を自称する「雲上の湯」は水温が絶妙で、冷えた体を温めるのに最高である、らしい。雨も弱まり、温かいトマト煮込みを囲んでお喋りを楽しんだ。ここで、更なる悪天候の予報を考慮して、明日の即時下山がCLにより決定される。安堵を禁じ得ない自分を不甲斐なく思いながらも、温かい寝袋に抱きついた。

2日目)

『起きろ』と先輩の声。『起きてください』になる前に何とかしなくては。早々にパッキングを済ませる先輩を横目に、荷物を急いで押し込むや否や、荷物のごとく外に追い出されてしまった。ここで問題が起こる。なる早の撤収に努めたテントと、予定時刻に合わせたテントとの間で、テントの解体に時間差が生じた。前者は雨の中で待たされ、後者も焦りを強いられることに。それぞれの状況に応じて、前日の間にテント間で解釈を統一しておくようにと、後日の部会で決定される。転倒もやや見られたが、その後は淡々と下山。稲子湯への到着を持って、一連の行動は終了となった。

(感想)

 

久しぶりの登山ということで、一つ一つの景色が新鮮味を帯びて目に映った。山霧に包まれた樹林帯や、突風の吹き荒れる稜線上は、まさに非日常の極みであった。体力的な面では大きな成長を感じたが、寝坊や不注意など基本的な行動における未熟さを痛感させられた。先輩に心配をかけない程度にまで、精神的にも成長しなければならない。雨風への耐性が余計についたのは望まぬ収穫である。

 

☆写真

東天狗に向かう稜線上にて、霧より出ずる後発隊。(6/29 撮影=川原)