富士山(19/07/31)


 

☆天気

 

 

 

(一日目)曇り時々晴

 

(二日目)快晴

 

 

 

☆チェックポイントと通過時刻

 

(一日目)

 

御殿場駅0835 === 0930水ヶ塚駐車場(一合目)(入山)0940 --- 1015須山登山歩道一合五勺1025 --- 1110須山二合五勺1115 --- 1145須山三合1125 --- 1220宝永第二火口縁分岐1225 --- 1250富士宮ルート五合目1345 --- 1400富士宮ルート六合目 --- 1445富士宮ルート新七合目御来光山荘1455 --- 1540富士宮ルート元祖七合目山口山荘1545 --- 1630富士宮ルート八合目池田館()(行動時間7時間0) 

 

 

 

(二日目)

 

0100起床池田館0130 --- 0220富士宮ルート九合目萬年雪山荘0230 --- 0310富士宮ルート九合五勺胸突山荘0320 --- 0345富士宮ルート山頂0355 ---(3,733m富士朝日岳山頂に移動、日の出を観測)--- 0530富士剣ヶ峯山頂0550 --- 0630須走・吉田ルート下山口0640 --- 0720須走ルート本七合目見晴館0730 --- 0750須走ルート七合目太陽館0800 --- (砂走り) --- 0825須走ルート砂払五合目吉野家0850 --- 0920須走ルート五合目バス停(下山)(行動時間7時間50)

 

 

 

 

 

☆行動と感想

 

 山岳部が夏山期間中に富士山に登るのは珍しいが、個人的には毎年開催したいと考えている。昨年度は台風の通過により中止となったので、今年は確実に登れるよう2回設定した。その第一回の記録である。

 

 

 

 この第一回に参加してくれた部員のうちの一人は7/25~28の白馬連峰縦走にも一緒に参加していて、その帰り、大糸線平岩駅から東京まで18切符を使って9時間かけて帰宅する途中、この山行について話し合った。その中で、私の方から最近話題のルート3776(標高0mの田子の浦から山頂まで登るコース)を提案したところ快く受け入れてくれ、sea to summit山行を一度検討してみた。しかし海から登るとなると日程がもう1日必要となり、次に続く南アルプス縦走への準備のための休養日が消滅してしまうことから、残念ながらルート3776の挑戦は来年へと回すことにし、今回は一合目(水ヶ塚駐車場)から登ることにした。

 

 

 

(一日目)

 

 メンバーの電車の乗り換えミスのため御殿場駅での集合時間が1時間ほど遅れてしまったが、予定より1つ後のバスに乗り込みバスターミナルを出発。御殿場口新五合目(※一合目に近い標高にある)で多くの登山者を下ろした後バスはそのまま走り続け、終点の水ヶ塚駐車場に到着した。富士宮ルートのマイカー規制用駐車場になっているため、富士宮ルートで登頂してきた人がシャトルバスから大勢降りてくるが、ここから入山する人は私たち以外いなさそうだ。準備を済ませて一合目標識から須山口登山歩道に進入。さすが一合目、ほぼ全く傾斜がなく、富士山に来た感覚が全くない。しばらく平坦な道を歩き、少し傾斜がついてきたらそこが一合五勺だ。まだまだ先は長いので、休憩も短めにまた歩き出す。ここから二合五勺まではそこそこ傾斜のある道を登る。今回はいつものテント泊山行と比べるとだいぶ荷物が軽く(足りなくなった水は山小屋で調達すればよいと考え、ザックの重さがだいたい4kg)、自然と歩くのが速くなってしまい、人通りが少なく荒れて歩きづらい林間の小径をコースタイムの半分ほどの所要時間で爆走、すぐに汗が滝のようにあふれ出てバテてしまった。あまり急ぎすぎても仕方がないと気を取り直し、意識してゆっくりめに歩き出すと途端に余裕が生まれ、標高が上がって涼しくなってきたというのもあり快適に高度を上げて三合目に到着した。ここから道は砂礫が多く、大岩も出てきて傾斜も増し、俄然富士山らしくなってきて急にテンションアップ。森林限界を越え、宝永火口縁のロープ付きの急坂を登り切って、第二火口・第三火口境界にある分岐に到着した。しばらく休憩していると次第に雲が消えて見晴らしがよくなってゆき、真正面に宝永山が堂々登場した。足取りも軽く第二火口縁を登り、富士宮ルート五合目に立ち寄るため左の森に延びるトラバースルートに進入した。30分弱のトラバース道の途中、下から登ってきてそのまま六合目へと急坂を駆け上がる「村山古道」とクロスするところがあった。海から登っていたら通っていたであろう道だ。来年はぜひこの道を通って富士山に登頂したい。もっと挑戦的な目標としては、この道を六合目まで詰めた後、お中道でトラバースして富士山最大のバリエーションルート「主杖流し」を登ってみたいなと思う。こちらはいつの開催になるのか分からないけれど。

 

 

 

 富士宮ルート五合目では、メンバー3人のうち最後の1人でここから入山する人を回収、アイスクリーム300円で元気をつけて、富士山保全協力金1,000円を払い入山した。さすがに五合目ではまだトイレチップは要らないだろうと思ったら、しっかり200円を請求されてしまった。これ、払うのは別に良いのだが、保全協力金もしくは山小屋の宿泊費に含めた方が払う側の手間が減ってありがたいのだが、と富士登山するたびに思う。

 

 

 

 出だしで急いでも後で息が切れたり呼吸が辛くなるだけだと思い、六合目までゆっくりと歩く。六合目からは一気に傾斜が増してくるが、幸い適度な霧に包まれていて快適に登ることができ、新七合目、七合目と順調に通過した。標高は3,000mを超えたが、ゆっくり自分のペースで登っているのとザックが軽く呼吸しやすいのとで幸い高山病の症状は現れず、本日の目的地の八合目山小屋池田館に到着した。時刻は16時半と他の山ではかなり遅いと思われる時間、特に農鳥岳でこんな時間に着きたくはないが、富士山なのでこんなものだろう。本日の宿泊者の1/3もまだいないようだった。平日で空いているためか、通常料金なのに個室に案内してくれて一同感激だった。夕食のカレーライスをいただいた後は、翌日早くからの行動をため早めに就寝した。

 

 

 

(二日目)

 

 池田館にて朝1時に起床。外に出てみると星が非常に美しく、生まれて初めて肉眼で天の川を観測した。もともと目が悪く天の川は見えないものだと思い込んでいたので、かなりの驚きをもって見ていると、明るい流れ星が流れて感動を増幅させた。

 

 

 

 前日チェックイン時に朝食としてもらった飲み物やパン・行動食の一部を消費した後、荷物をまとめて小屋を出発した。平日なので渋滞とまではいかないが、八合目より上の道では既に多くの日の出目当ての登山客が上へ上へと登る列をなしていて、ペースが遅い登山者やツアー客の後ろに10人ほどが連なる場面も見受けられた。

 

 

 

 我々も標準的なスピードか、もしくはそれより少し速いくらいで着実に登り、九合目萬年雪山荘、九合五勺胸突山荘と順調に通過した。渋滞の可能性もあったので早めに起きたが、もう少し遅くてもよかった。宿泊した山小屋は前に2回来た時に泊まった小屋と同じくらいの標高だったが、今回は就寝中に高山病の頭痛を患うことなく、朝から非常に気分が良い。それでも九合五勺から山頂に至る急坂「胸突八丁嶮」はさすがに酸素が薄くて辛く、富士宮ルート特有の急峻さもあり難儀、難儀と愚痴をこぼしながら登り続けてようやく山頂に着いた。結局日の出時刻よりかなり前についてしまい、どこかで時間を消費しなければならない。山頂の火口=大内院沿いにいくつかある峰々のうち、我々は最終的に3,733mの朝日岳をチョイスした。平坦な山頂は美しい日の出を観測するのにぴったりだ。山頂には既に何人もが待機している。平日なので海外からの登山客が目立つ。それにしても今日は奇跡的に風がなく、持ってきたシュラフを使わなくても十分暖かいのがとてもありがたい。富士山頂で無風の朝なんて一年で数回位ではないだろうか。本当にいい日に来たものだ。

 

 

 

 気持ちの良い山頂でゴロゴロくつろぐこと数十分、最初は星がきれいに見えていたのが次第に全天明るくなり、雲海の向こうの地平線は黄色から赤へと色を濃くしてゆく。日の出の時刻をすぎてそろそろだと思っていたら、なんと雲海の中から鮮烈な「紫色」の太陽が昇ってきた。まるで雲海が本当の海であるかのように、ゆらゆらと左右に揺れながら上昇してゆき、雲海を超える瞬間に赤い光線が360度全方向に向かって放射された。これが、日本で最も神々しいとされる富士山の「御来光」である。本日も申し分ない美しさだ。富士登山最大の魅力と呼んで間違いない。無心でカメラに収めた。

 

 

 

 さて、日の出が終わったので広げていた荷物を回収してパッキングし直し、混雑する前に3,776m地点剣ヶ峯へと向かった。最後の登り坂「馬の背」はこの前来たときは高山病のため無間地獄の苦しみであったが、今回は何の苦労もなく通過。飛ばしてきたので山頂の撮影渋滞もまだ始まっておらず、待ち時間ほぼゼロで記念撮影を済ませ、下山を開始した。火口の北側を周回して須走・吉田ルート共通下山口に到着、そこから半ば走るような速さで下山していたら、本八合目に着く直前に軽く転んで左手に擦り傷を作ってしまった。この傷が実は深かったことが下山後判明、次の南アルプス縦走山行では毎日傷の修繕に追われることになり、この時手袋を着用していればと後悔した。(それよりも大事なことは普通に歩いて下山することだが。)

 

 

 

 何はともあれ、下山は非常に速く快適で、あっという間に砂走り下山道の上端まで下ってきてしまった。ここから須走口下山道名物、急斜面を一直線に駆け降りる砂走りが始まる。念のためヘルメットを着用、欧米系登山者の後に倣ってかなりのスピードで駆け降りた。数年前に同じ道を下った時と比べると、全体的に砂の量が少なく、大石がむき出しになっている箇所が増加していて危険さが増している気がした。このままだとあと10年もすれば吉田口・富士宮口と同じような普通の下山道になってしまいそうで不安だ。

 

 

 

 砂走りを高速で下り続け、あっという間に砂払五合目・吉野家に到着した。吉野家は以前は売店営業のみだったが、宿泊者の受け入れを再開したようだ。ここで長いことくつろぎ、最後の下りに取り掛かった。砂走り延長戦の感覚で砂礫の斜面をしばらく下った後森林限界を下回り、森の中の道を色々な話をしながらのんびり下ってゆくと、古御岳神社の裏手に出た。なんとか山行を終えられそうなことに感謝して石の階段を下ってゆき、こぢんまりとした須走口の五合目にたどりついた。毎度毎度商売上手な東富士山荘のおばちゃんの誘惑にまんまと引っ掛かり、絶品のこけももアイスを全員お買い上げ。サービスできのこ汁もいただき、御殿場行きのバスのチケットを購入して乗車、家路についた。

 

 

 

☆感想と反省

 

 

 

 今回の山行も、前回の白馬に引き続き好天に恵まれた。今年は5月の新入部員確定合宿@雲取山にて恐ろしく凄惨な雷雨で肝を冷やして以来荒天の山行続きだったため、この2連勝に非常に価値がある。今回来てくれた1年生にもザ・富士山というべき美しい景色の数々を堪能してもらえて幸いだった。そして繰り返しになるが、全員高山病の顕著な症状もなく登下山できて一安心だった。特に、1か月後にアメリカ・カリフォルニア州にて4,000m峰の登山を予定している私にとって、酷い頭痛や吐き気、倦怠感なく山行を終了できたのは非常に嬉しいことであった。

 

 

 

 一合目から登ったとはいえ、山小屋泊の比較的ゆるふわな個人山行だったため、心体ともにゆとりをもって山行を完遂できたと思う。下山中の転倒が唯一の心残りで、砂走りに突入する前の普通の下山道は歩いて下るべきだったと反省する次第である。

 

 

 

 次回、8/16~17の第二回富士登山も素晴らしい好天を期待している。

 

 

 

 

 

☆ギャラリー

 

 

山頂からの日の出×2。スマホのカメラでは神々しさが伝わらず非常に残念。(8/1 5:02、撮影依頼:山下)

 

山頂西側から、影富士と遠くに南アルプス。南アルプスがとても低く見えるが、この二日後南アルプスの稜線から富嶽を見上げた時は逆にとても高かった。さすが孤高の山だ。(8/1 5:59、撮影:山下)