金峰山・瑞牆山(19/05/11-12)


 

 ☆天気

 

1日目:晴ときどき小雨、2日目:晴

 

 

 

☆コースタイム

 

1日目)

 

韮崎駅(集合)0850===1005瑞牆山荘1020---1100富士見平小屋---1235瑞牆山1250---1425富士見平小屋

 

2日目)

 

0200起床→富士見平小屋0320---0410大日小屋---0440大日岩---0655金峰山0735---0939大日岩---1010大日小屋1020---1053富士見平小屋1117---1140瑞牆山荘1255===1405韮崎駅(解散)

 

 

 

☆行動と感想

 

 1年生にとっては、初めての定期山行である。上級生3名に対して1年生5名と、平均年齢の低いパーティになった。私が金峰瑞垣に行くのは1年生の10月以来2度目で、今回初めて山行のCLを務めた。

 

 事前の情報で、大日岩から金峰山にかけて残雪があり軽アイゼンが必要であること、両日とも夕方以降ににわか雨や落雷の恐れがあることがわかっていた。先週の雲取山で雹と雷に遭遇したこともあり、天候判断は慎重に行うことにした。

 

 

 

 アプローチ:韮崎駅から瑞牆山荘まではマイクロバスに乗る。事前に乗車人数を連絡することになっているので、山行3日前にバス会社に電話したところ、乗車は先着順になるがたぶん座れるだろうとのことだった。しかし、実際にはバスは満員で、立っている人も多かった。バス酔いしやすい人には辛い1時間だった。

 

 

 

 瑞牆山荘~富士見平小屋:広々とした、緩やかな登りを40分ほど歩く。眺望が開けて瑞牆山が姿を見せると、小屋はもうすぐだ。

 

 富士見平小屋で天候判断を行った。怪しい雲は見当たらなかったため、予定通り瑞牆山に登ることにした。ここでテントを設営して荷物を置いていきたいところだが、定期山行は夏合宿に向けたトレーニングなのでそういうわけにもいかない。重たいザックを背負い直し、そのまま瑞牆山方面へと進んだ。

 

 

 

 富士見平小屋~瑞牆山:一度下って沢を渡り、その後再び登り返すことになる。メンタル的にはちょっときついが、滑りやすい箇所もなく歩きやすい。この山域に共通して言えることだが、岩場があったり、木の根っこが露出していたりと道の状態がころころと変化する。大きな岩をくぐったり、倒木を乗り越えたりするのは、登山未経験の1年生にとってはとても新鮮だったようで、「楽しいですね」と言いながらすいすい登っていた。

 

 登り返しているうちに、頭上にそびえ立つ大きな岩が見えてくる。山頂かなと思ったが、残念ながら山頂はもっと上だった。途中で雨粒が体に当たったためレインウエアとザックカバーを着用したが、本降りになることはなかった。

 

 山頂の直前まで樹林帯が続くが、山頂は大きな岩が積み重なるようにできている。山頂に到着した瞬間、空に虹がかかっているのが目に入った(環水平アークというらしい)。1年生は山頂に着くなり歓声を上げ、岩に登ってみたり写真を撮り合ったりしていた。1年生が登山の楽しさを感じる瞬間を見られたような気がして、うれしかった。

 

 雨に降られる前にテント場に戻るため、10分ほどで山頂を後にした。下りは、よくこんなに登ってきたなと感心するほど長かった。とくに岩場や鎖場は、大きなザックを背負った8人パーティが下ろうとすると時間がかかってしまう。雨が降り出す直前にテント場に到着できた。

 

 

 

 夕食は、「春の瑞牆山をイミテートしたジェノベーゼパスタ」。食事係曰く、ジェノベーゼパスタとルッコラで新緑を、大根で残雪を表現し、さらに花崗岩を模したジャガイモとウインナーをトッピングすることで、春のさわやかな瑞牆山が完成するらしい。食事係のクリエイティビティと遊び心が光る一品だった。

 

 翌日の出発は、計画より1時間半早めることにした。午後に天候が悪化する可能性があるのと、その時間に出発すると大日岩あたりで日の出が見られるからだ。ということで、翌朝は2時に起床。朝食はスモアサンドだった。満天の星空の下、8人が無言でガスバーナーを囲み、マシュマロを焼いたり、うっかり燃やしたりするのはシュールな光景だった。

 

 

 

 富士見平小屋~大日岩:真っ暗な登山道を登ることになったが、道幅が広く傾斜もそれほど急ではないので問題なく歩ける。大日小屋を過ぎたあたりから徐々に明るくなり、ヘッドランプも不要になった。そこからは鎖場が出てくるので、暗いうちに歩けるのは大日小屋までだろう。

 

 

 

 大日岩~金峰山:前日に富士見平小屋の小屋番さんがおっしゃっていた通り、大日岩以降は残雪が残っていた。最初のうちは、踏み固められていて土が被っていたので滑りにくく、登山靴で歩くことができたが、稜線に出る手前で雪が深くなり、アイゼンを装着することにした。アイゼンを山行前にチェックしておくように指示するのを忘れていて、1年生に部室から貸したアイゼンが、故障していて使えなかった。(雪道に慣れているとのことだったので、アイゼンなしで登った)また、私も含め、つけ方に手間取った人が多く、装着に思った以上に時間がかかった。

 

 稜線上は、ごつごつした岩が山頂まで続く。すぐ近くに見える山頂ほど実は遠いので、気を引き締め直して登った。ただでさえゴツゴツの道が、岩が凍っていたり雪が残っていたりしてスリル倍増である。森林限界を超えると酸素が急に薄く感じられ、先頭を歩きながら自分のペースが落ちていることが分かった。

 

 五丈岩から5分ほど歩くと山頂である。山頂に到着した時、急いで下山すれば予定より1本早いバスに乗れることが分かったが、残雪がある道で急ぐのは危険だということと、1年生に山頂で過ごす時間を味わってほしかったということもあり、急ぐのはやめて、山頂で30分時間をとることにした。

 

 CLSLも風邪気味で万全の体調ではなかったのだが、SLが山頂で体力の回復に努めていた一方、私は1年生のテンションにつられて、五丈岩に登ったりして30分フルにはしゃぎ回ってしまった。とても楽しかったが、その後の行動に響いてしまったので反省している。

 

 

 

 金峰山~瑞牆山荘:登りのときには、稜線に出る直前までアイゼンの必要性を感じなかったのだが、同じ道でも下りだとかなり滑りやすい。ザックを持っていることで重心が後ろに傾きがちになり、足を滑らせる人もいた。

 

 大日岩を過ぎると雪が消える。登りのときには暗くてよく見えなかったものの、実は急登も多かった。富士見平小屋で長めに休憩をとり、瑞牆山荘へと下山した。

 

 

 

 総括:1年生5名は体力的にも技術的にもレベルが高く、大きなハプニングもなく山行を終えることができた。CLSLがヘトヘトでも1年生は常に元気で、自分も負けていられないなと思った。

 

 反省として、8人という大人数での行動で、先頭の配慮が足りていなかったことが挙がった。例えば、大きな段差や通りにくい箇所を通過した後、先頭がすたすたと先に進んでしまったら後ろの人は追いつくのが大変なので、先頭は後ろのメンバーの様子を見てペースを調整しなければならない。また、アイゼン装着や休憩で立ち止まるときには、後ろの人のスペースを確保するため、先頭は少し前に進む。

 

 最大の反省点は、事前の情報共有不足や指示不足だ。アイゼンを購入し持ってくるよう伝えたが、使い方を確認するように指示するのを忘れていた。装着するときになって、故障していた・使い方が分からないというのは、あってはならないことだ。

 

 初めてCLとして臨んだ今回の山行は、私にとって忘れられないものになると思う。これまでの山行では、共同装備を減らしてもらうことや、自分のペースに合わせてもらうことも多かった。だが、今回はしっかりと共同装備を持ったうえで、山行のリーダーとしてルートや天候、メンバーの様子に気を配りながら、安定したペースで歩かなければならなかった。これまでの登山とは違った緊張感と楽しさを知ることができたが、周囲に助けてもらうことも多く、自分はまだリーダーを務められるレベルには程遠いということを痛感した。特に、体調管理がきちんとできていなかったことや、それが原因で下山中に一時、周りを見る余裕がなくなってしまったことは反省点である。一方で、冬の歩荷やランニングなどのトレーニングの効果を、多少実感することができたのはうれしかった。夏合宿に向け余裕をもって登れる体力をつけていきたい。

 

富士見平小屋にて、「春の瑞牆山をイミテートしたジェノベーゼパスタ」。(5/11 17:52, 撮影=山下)

金峰山山頂から五丈岩方面を望む(5/12 07:18, 撮影=山下)