奥秩父縦走


☆天気 

2/26 曇り

2/27 曇り

2/28 快晴

 

☆コースタイム

1日目:0812塩山0820===0900西沢渓谷入口---1144近丸新道分岐---1440木賊山---1452甲武信小屋 (泊)

2日目:0510甲武信小屋---0532甲武信ヶ岳---0559 2353m地点---0637水師---0741富士見---0948東梓---1629国師ヶ岳---1725大弛峠(泊)

3日目:大弛峠---0719アコウの土場---0759桜沢橋

 

☆行動と感想

(背景)

 今年度雪山の締めくくりとして、奥秩父の甲武信ヶ岳~金峰山の縦走ルートを選んだ。ルート選択の最大の決め手は、冬山における本格的な縦走に挑戦したいと考えたことである。私が2年生になってから年度最終の雪山は挑戦がテーマになってきたと感じており、2年次は北アルプス蝶ヶ岳、3年次は南アルプス甲斐駒ヶ岳・仙丈ケ岳の冬期登山に取り組んできた。これらの山行は共に、ベースキャンプにテントを張り、ある程度荷物を軽くしてピークハントを狙っていくというスタイルだった。今年度はそうではなく、装備をすべて持った状態で進んでいくという、より本格的な冬期縦走に挑戦したいと考えた。一方、昨年度に比べやや難易度としては下がるルート選択をした理由は以下のとおりである。まず第一に、下級生の育成である。今年度で冬山班4年が2名引退(現状の半数)してしまい、冬山班の弱体化が予想されるため、後輩の育成という意味を込め、今年度は年度末の冬山を上級生のみ可ではなく、1年生を参加させることにした。このことに加え、4年生の一人がロースクール入試上がりで冬山から活動を再開するという事や、昨年度以上の冬山に登ることのできるイメージが全員で共有できなかった事が背景としてあった。これらを踏まえルート選択を試みたが、どこに登るか具体的な場所を挙げるのに今年度はかなり苦労した。技術・体力のレベルに見合い、かつ登り甲斐のあるルートがなかなか思いつかなかったからである。色々考えたが、昨年度登った甲武信ヶ岳山頂で、金峰山方面へ延びる縦走ルートを見て、ここに行きたいなと感じたことを思い出した。金峰山には冬期にも何度か登っていてなじみのある山であった事、技術的に難しいことは要求されない山域でありながら積雪量という点では登りごたえのある縦走コースであることや、行ったことのある山をつなげる事自体に魅力を感じ始め、自分の山岳部最後の山行にふさわしい気がしてきた。そこで甲武信ヶ岳~金峰山の奥秩父縦走をすることにしたのである。

 

1日目)

 塩山駅からタクシーで西沢渓谷入口まで向かう。昨年度12月に登った時は2000m以降で雪が見え始めたが、今回は徳ちゃん新道半ばごろから地面が雪に覆われはじめた。この徳ちゃん新道、昨年度は急坂で苦しめられた。昨年度は休憩をあまりとらなかった事もあり、今回はきっちり301回ペースで休息をとりつつ進んだ。これ功を奏したのか、現地では昨年度よりも楽に登れているという実感があり、甲武信小屋にもコースタイム通りに到着した。帰宅後昨年度のコースタイムと比べるとほぼ変わらないタイムであったため一概には言えないが、休憩の回数を昨年度より明確に多く取っているので、トータルで歩いている時間は減っていると言える。休憩をこまめにとる必要を今さらながら実感できた。

 甲武信小屋に到着後、テントを張る。テントを立てようとした場所が、固い雪質のところとパウダー状の雪質の所が混在しており、均すのに苦労した。パウダー状の雪を固い雪に交換することで均しやすくなることを発見した。夕食はぺミカンシチューだった。後輩が初めて作るぺミカンであったがおいしくいただけた。翌日の朝食はコンビニで買ったおにぎりをお茶づけにして食べるものであった。一晩でおにぎりが凍る懸念があったが、後輩がタッパーの中に入れて寝袋で一緒に寝れば大丈夫なのでは、という事になり、自分も金属製の食器におにぎり二つを詰め込み寝袋で一緒に寝てみた。暖かくて逆に腐ってしまうのではと心配だったが、起きて取り出してみるとひんやりしておりちょうどよい温度で保存できていたようである。このような発見や工夫のし甲斐があるのも冬山の醍醐味だなと思う。

 

2日目)

 勝負の二日目である。この日に甲武信ヶ岳~金峰山を結ぶ縦走路を歩く。甲武信小屋を5時過ぎに出発し、すぐに樹林帯を抜け、甲武信ヶ岳山頂に到着。真っ暗で何も見えないがとりあえず記念写真だけ撮影し次へ向かう。このまま強風に吹かれながら進むのかと思いきや、すぐに樹林帯に入った。それでも風はあるが、吹き曝しよりはだいぶ良い。積雪量も多くてひざ下くらいであり、ペースは快調であった。東梓を過ぎ12時頃までは休憩含め事前に計算したタイム通りで進むことができた。このまま無事に大弛峠まで進めると思ったが、国司ヶ岳手前2400m辺りから急に雪が深くなり、胸下あたりまで雪のある斜面をひたすら登ることになった。昨年度は荷物が軽かったが今年度は重い。30分ほどで国司ヶ岳が見えてくるはずが一向に見えてこない状況が続いた。30分かかる所を2時間50分弱かけ、ようやく国司ヶ岳に到着。下るころには暗くなりはじめ、テント場についたのが1725分であった。

テント場に到着後体調を崩した者が1名出たため、翌日下山するかどうか様子を見るという事にした。夕食はぺミカンカレーであった。カレー粉が特殊で、どんなに足してもとろみとカレーの味がつかない。不思議な味がしたが、おいしくいただいた。

 

3日目)

 3日目になっても体調が良くならないため、下山を決めた。幸い大弛峠まで舗装路が伸びていたため、雪の上ではあるが安全に下山することができた。

 

(総括)

 今年度は那須岳・硫黄岳共に体調不良で途中下山しており、体調不良が新たな問題として浮上している状態である。那須岳は体力不足が原因で、硫黄岳は原因不明の吐き気に苦しめられた。吐き気に関しては、ネットで見たところ高山病である可能性があるとのことだった。というのも、冬期登山の際にはバラクラバで口回りを覆うため、通常の登山より呼吸がしにくくなるからである。意識的に深い呼吸をすることで防げるという事であった。自分は毎回冬期登山において気持ち悪さを我慢して登っていたが、呼吸を意識したところ今回は気持ち悪くならなかった。このように、体調不良に関しては個人で対処できるものもある。一方、その日に行動しすぎればその分体調を崩す可能性も高まる。今回の体調不良はこちらのパターンだと思う。行動時間が長くなる事がわかった段階で、体力と相談しながらビバークの選択肢も視野に入れつつ行動できるような柔軟性が求められる。

 奥秩父縦走は完遂できなかったが、今年度参加した一年生には、昨年度の甲斐駒ヶ岳・仙丈ケ岳にも負けないくらいの辛いラッセルを体験してもらうことができた。また、本山行の核心である冬期縦走という面でも、7割方達成できたのではないか。これを糧にしてぜひ来年度も冬山に挑戦してほしいし、それ以降も冬山の活動を継続させていってほしいと思う。


国師ヶ岳より眼下の景色を望む。(2/27 16:29 撮影=松橋)
国師ヶ岳より眼下の景色を望む。(2/27 16:29 撮影=松橋)

同所集合写真。左から岩﨑、佐々木、吉田、松橋。(同刻。 撮影=松橋)
同所集合写真。左から岩﨑、佐々木、吉田、松橋。(同刻。 撮影=松橋)