鳳凰三山(16/10/15-16)


 

文責 有田麻子(社会学部4年)

 

参加者

 

福家一裕(法1年)、大矢和樹(法3年)、羽二生祥馬(経3年)、有田麻子(社4年)

 

 

 

転機

 

15日:晴れ 16日:晴れ

 

 

 

コースタイム

 

15

 

夜叉神峠登山口 8:359:30 夜叉神峠 9:3510:45 杖立峠 10:5512:30 苺平 12:3513:15 南御室小屋

 

 

 

16

 

南御室小屋 4:255:45 薬師岳 6:006:45 観音岳 7:008:20 地蔵岳 8:45→(赤抜沢の頭と観音岳の間の分岐を経て)10:40 鳳凰小屋 10:5512:05 燕頭山 12:1014:15 西ノ平 14:2515:10 御座石温泉

 

 

 

1日目 1015

 

前日の夜は国立駅近くの羽二生宅に3人とも泊まらせてもらった。前日、就寝したのは12時過ぎで、起床が3:20だったので、3時間強しか寝ていない。24時間営業のSEIYUで朝食を調達して、国立駅に4時ごろ到着する。誰もいない静かなプラットフォームにわくわくする。

 

甲府駅から登山口までのバスは混んでいたが、夜叉神峠登山口で降りたのは私たちと、もう一組だけで、他の登山者らはその先の広河原まで行き、北岳を目指すようだ。降車後、荷物の重さを部員内で均等に調整してから登り始める。電車でいくぶんか寝ることはできたものの、いつもとは違う起床時間に体が慣れておらず、体全体がぼうっとしている。夜叉神峠では展望が広がり、北岳が見える。もう少し進むと、以前登った甲斐駒ケ岳や仙丈ケ岳が見えるとのことだ。もくもくと下を向いて歩くが、時折見上げると橙色や赤色に染まった木々がちらほらある。杖立峠まで、歩きやすい道が続いたが、苺平からは石や岩がごろごろとした道になり、かなり傾斜もきつくなる。私にとって、60ℓザックを持って、フライシートや鍋、防寒具などを背負いながら登ることは初めてだったので、足を引っ張るのではと不安だったが、どうにか南御室まで無事到着する。

 

夕飯はキムチ鍋。全員が若干の睡眠不足で、咳をして風邪をひいている者もいたため、テント設営後、昼飯を食べて少し休憩した後、15時ごろから夕飯の準備を始める。米の炊き方を間違え、固めのご飯になってしまう。原因は、米を鍋に入れてから水の量を測ったこと。ただ、キムチ鍋を丼のようにして食べたため、米の固さはそこまで気にならない。大矢氏が持ってきたこだわりのコーヒーを飲ませてもらった後、5時から6時ごろ就寝する。ダウン、ウールのセーター二枚、フリースを着て寝袋に入ったが、私は12時ごろから寒さで眠れなくなってしまう。午前1時ごろ全員自然に目が覚め、星と満月を眺める。満月は見たことのないようなオレンジ色をしており、いつもより大きく感じる。

 

 

 

2日目 1016

 

2:50に起きて各自朝食を食べ、コーヒーを飲み、テントを撤収する。フライシートには氷の薄い板が付着しており、いくら払っても完全には取れない。日の出を山頂で見たいので、時間を気にしながら登っていく。ヘッドライトでは視野が狭くなるため、滑落しそうなところは声をかけながら歩いていく。道が広くなっているところは、迷いやすいので要注意で、時折あっちでいいかこっちでいいかと確認しながら登る。右方向を見ると市街地の夜景がきれいだ。少しずつ空が赤くなっていて、もうすぐ日の出だ、と焦る。日の出の時刻一分前に山頂に到着し、丸くて赤い小さな太陽が登っていくのを眺める。記念写真を取り合っている間にあっという間に空は水色になっている。立ち止まっていると、寒くてしょうがない。鼻の頭がもげそうに痛い。

 

薬師ヶ岳から観音ヶ岳へ登っている頃から、空気が薄く、自分は呼吸がしづらくなる。先々月の甲斐駒ヶ岳山行の際にも、標高が上がるにつれて呼吸が早くなり、ヒューヒューと音を出すように息を吸うほかなく、部員や他の登山者に心配されたが、今回も同じだ。歩くリズムを掴めば、奇妙な呼吸の仕方でも、周りのペースについていくことができる。ただ、一緒に歩いている部員らにとってみれば、気味が悪いだろう。コースタイム通りの7時、観音ヶ岳の山頂もまた美しい。ずっと眺めていたいが、留まっているとどんどん体が冷えていく。

 

観音ヶ岳から地蔵が岳に予想以上の時間をかけてしまう。山と高原地図には1時間とあるところを、1時間20分かけて登った。登山客どうしのすれ違いが多かったのも一因だが、一番の理由は私の歩く速度ががくんと落ちてしまったことだ。普段ならなんでもない緩い上りにも息が上がってしまい、前に進むのが苦しいので、頭の中でとにかく「前、前」と掛け声をかけながら進んでいく。地蔵が岳には小さなお地蔵さんがいくつもいらっしゃり、一つ一つお顔も大きさも素材も違うので面白くて見入る。

 

計画上、地蔵が岳からオベリスクを超え、鳳凰小屋に着くことになっていたが、巨岩の積み重なったオベリスクを登り始めると、他の登山客に「大きなザックを持ってここを超えるのは危ないから、いったん観音ヶ岳方向へ戻り、途中にある分岐から鳳凰小屋を目指した方がいいのでは」と勧められ、結局そのアドバイスに従う。そこからがずいぶん長い。地蔵が岳から観音ヶ岳方向へまた登る道で、自分は少し過呼吸気味になり、歩行速度が落ち、迷惑をかけてしまう。鳳凰小屋にたどりつき、小屋のスタッフから御座石温泉へ下山するルートならバスに間に合うと教えられる。下山中、新品の靴が合わずに足の指の皮がめくれてしまう者も出る。着いたら温泉に入ることを楽しみに、お互い励まし合いながら下山する。

 

 

 

総括

 

良かった点については、国立駅始発の電車に乗ったことで、時間にも心理的にも余裕をもって一日目の山行を終えることができた点だ。反省点は、地蔵ヶ岳登頂後に時間を大幅にロスしてしまった点だ。いくらコースタイム通りに進むことができていたとしても、その後にどんなハプニングが起こるかわからないので、休憩時間を長引かせずに、早め早めに下り始めることが必要だと学んだ。また、これは部員どうしで話し合ったことだが、次もしここに行くとしたら、薬師が岳と観音ヶ岳まで行って、地蔵ヶ岳へは行かずに鳳凰小屋から下山するのも一つの選択肢かもしれない。いったん下った道を引き返して登ることは心理的に負担が大きいことと、最初の二山で大いに満足するから、というのがその理由だ。ただ、せっかくだからお地蔵さんやオベリスクを見たいということも考えると、そう簡単に地蔵ヶ岳を省いてしまうこともできないなと思う。

 

 

<参加メンバーのコメント>

 

 

 

初めての泊り山行でした。楽あり苦ありというのが大まかな感想です。山行1日目の前日に、先輩の家に泊まらせていただき、早朝の列車で出発する行程でした。1日目夜に食べるキムチ鍋の下準備として、野菜を刻み、肉の軽い処理を先輩宅でしているとき、素直にワクワクとしました。1日目は、比較的緩やかな登りを進み、途中快晴の中北岳を見たとき、さわやかな気持ちになったのを覚えております。想定のコースタイムとズレがあり、思っていたよりもすぐに1日目の山小屋に到着し、拍子抜けといったところでした。山小屋は山と山の隙間のようなところを切り開くように作られており、林に囲まれていました。外界から隔離されているような感じがして、自分にはとても新鮮でした。

 

ところで、山の上でキムチ鍋ができるわけがないと思っていた時代が僕にもありました。しかしふたを開けてみれば、僕は最後のキムチ鍋の知るまで飲み干していたのです。早めに寝て、深夜に起きると気温は氷点下、震えながら外に出ると満月で明るいにもかかわらず、星がはっきりと見え、山の実力というものをこの目に焼き付けることができました。楽楽楽な1日目に反し二日目は、つらいものとなりました。早朝にキャンプ地を出発し、ご来光を拝むところまでは楽だったのですが、下山するときに予想以上の厳しさに疲弊してしまいました。地上に到着したとき、文明に触れたとき、ある意味素晴らしく感動しました。最初に書いた通り、おもに1日目は楽、2日目は苦ときどき楽といって間違いないはずです。しかし、これから山岳部でこのような山体験を味わえると考えると、自分は幸せ者だなと、確かに思えるような山行でありました。(福家一裕)

 

 

概括すれば、今回の山行は天気に恵まれ、予定していたコースはほぼ完遂することができたので満足であったが、それでも何点か反省すべき点があったように思われる。

 

一点目は、地図を完全に読み切れておらず、コース変更を余儀なくされたということである。当初予定では、地蔵岳に登頂後、地図上にも示されているとおり、オペリスクを超え、鳳凰小屋へ降りる予定であったが、オペリスクを登り始めると、道行く人にザックは置いていくべきだといわれ、実際にその先のコースについて尋ねたところ、状況は厳しく、ザックをもってオペリスクを通過することを断念せざるを得なくなり引き返すことになったため、必要以上に体力を消耗してしまい、下山時にペースが落ちてしまった。もう少し無理のない計画にすべきであったし、また体力がまだまだ全く十分でないという点がにじみ出た結果であろうと思う。

 

二点目は、クールダウンの欠落により強度の筋肉痛が生じたことである。今回の山行では、一泊二日であったため別段問題にはならないが、仮に長期縦走をする際には強度の筋肉痛は致命傷になりかねないので、これからはしっかり整理体操を心がけようと感じた。

 

放射冷却が起こっている分寒いが、それだけ山の空気は澄みわたり、景色もよく、最高であった。(大矢和樹)

 

 

 

今回の山行は、久しぶりでもあり体力のなさを痛感した山行であった。初日は地図で読んでいたほど急な登りはなく、比較的平坦な道であったが、前日からの体調不良とバスでの乗り物酔いでかなり辛く感じた。二日目は、薬師岳で朝日を見るために初めてのヘッドライト山行を行った。比較的に道もわかりやすく、方向も一定だったので、困難なく登れた。いい経験だったと思う。その後の岩場や、急な登りや下りなどアップダウンが激しく、技術不足と体力不足を強く感じた。個人的に今回、断念した地蔵岳のオベリスクを越えて、青木鉱泉に下る道に挑戦してみたいと思っている。調べたところ、日帰りでもできるということなので、企画してみたいと思う。

 

全体を通して、体力不足と技術不足・経験不足を感じた山行であった。(羽二生祥馬)

 

夜叉神峠からの眺め:9:30(15日) 有田撮影

薬師岳からの朝日:5:45(15日)大矢のカメラ

観音岳へ向かう白い砂の道:6:05(16日)福家撮影

地蔵が岳の地蔵たち:8:25(16日)福家撮影