丹沢主稜縦走(17/11/04)


 

☆天気

 

晴れのち曇り、夕方から雨

 

 

 

☆コースタイム

 

渋沢駅0657===0715大倉バス停0725---0832駒止茶屋0837---0916花立小屋0926---0950塔ノ岳0958---1039丹沢山1048---1113棚沢の頭---1148蛭ヶ岳1210---1258臼ヶ岳1310---1348金山谷乗越1400---1444檜洞丸1450---1603ゴーラ沢出合1610---1640西丹沢ビジターセンター1705===1915新松田駅(交通渋滞のため、予定より大幅に延着)

 

 

 

☆行動と感想

 

今年6月の檜洞丸行き以来の丹沢であり、昨年12月の歩荷以来の東丹沢バカ尾根である。縦走は昨年6月に主脈縦走した以来の挑戦となる。本ルートは大倉から丹沢の主峰をつないで西丹沢ビジターセンターに下りるという、日帰り山行の中ではかなりハードな部類に入るものである。昨年6月の際も挑戦を試みたが、初めての丹沢縦走ということもあり主脈縦走を選んだ。主脈ルートと今回の主稜ルートとは蛭ヶ岳で分岐するため、蛭ヶ岳の通過時刻によって選択を迫られることになる。大倉尾根を登った際の主稜ルートの特徴として、蛭ヶ岳以降の檜洞丸までの道のり、つまり行程後半も引き続き難所であるということがあげられる。主脈ルートは蛭ヶ岳以降登り返しがほとんどない下りなので疲れた足でも比較的歩きやすかったが、今回はそうはいかない。蛭ヶ岳―檜洞丸間はアクセスも難しく、縦走しなければ訪れることのない場所なので、事前の下見すらもままならない。今年6月に偵察山行と称し西丹沢ビジターセンター・檜洞丸間のルートを確認するなど、事前準備は抜かりなく行ってきたつもりであるが、いまだ未踏破路もある今回の山行は、非常に緊張したものとなった。

 

午前7時、渋沢駅で集合。今回は主脈縦走でも一緒に登っていただいた先輩方2人に加え、体力的にも問題なしの優秀な後輩吉田、さらに今回塔ノ岳までしか経験がない1年生の佐々木も参加してくれた。バスはかなり混雑しており、臨時便にも分かれて分乗し、大倉バス停で再集合する。幸い雲は少なく、登山日和となりそうであった。もともと2週間前に実施予定であったものの雨で延期となった本山行だが、この週を逃すと定期山行との兼ね合いもあって今年度中の決行は不可能であっただろう。晴れ男先輩はまだまだ健在なのだろうか。

 

出発準備を終えて登山開始。歩き慣れたバカ尾根を登っていく。前半の難所といえる大倉尾根をどういうタイムで登り切るかが縦走成功の鍵となるだろう。昨年の主脈縦走時には2時間20分で登ったが、自分が花立山荘でバテてしまった。休憩してすぐに復活できたが、塔ノ岳に着いてもまだ全行程の4分の1足らずという長さを鑑みれば、今回は比較的ゆっくり塔ノ岳まで登り、そこから一気にペースをあげるというのも一案かと思えた。昨年に比べて入山日数も増えており、夏山を一通りこなした11月ということもあるので、前回よりは楽に塔ノ岳まで登り切りたいという思いが強かった。塔ノ岳までのコース概況を説明しておくと、序盤見晴茶屋までは樹林帯の中を少しずつ登っていき、見晴茶屋直前から尾根に出て少し平坦な道を歩くようになる。見晴茶屋を過ぎるとバカ尾根名物の階段の連続が始まる。駒止茶屋までは大きく2つの階段群に分かれ、その間はほぼ平行移動する感覚である。2つ目の階段群を登り切ると、駒止茶屋に着く。山と高原地図のコースタイムにはないが、ここまで1時間ほどで登りたい。毎回の休憩スポット。駒止茶屋から堀山の家まではほぼ平行移動であり、疲れた体を一度リセットできる。堀山の家を過ぎると花立山荘に続く登り、階段の連続が始まる。個人的にはここがバカ尾根一番の難所だと思う。高さや幅の違う階段群が連続しているため、その都度歩幅を合わせて歩かなければならないのが負荷を増加させているのではないか。花立山荘15分くらい(?)手前で後ろの視界が開け、最後の階段群が待ち受ける。CLとして最後尾を歩いていたわけだが、今回もここできつくなり、最後の100mくらいは先頭の内海さんに置いて行かれる場面もあった。結局花立山荘に着いたときの疲労感は前回縦走時とあまり変わらなかったような気がするが、ここまで途中の道のりを記憶できて思い返せるのは今回が初めてであり、記憶を失わずにしっかり歩けたという意味で少しは成長できているのかなと思う。花立山荘からの出発直後は横幅が大きな階段の連続であり、ここは非常に歩きにくい印象。我慢しながら歩いていると道はましになり、だらだら登っているうちに鍋割山との分岐(金冷シ)を通過、そこからもう一登りすれば塔ノ岳山頂である。花立山荘まで登れたならそこからは大した道ではない。タイムは2時間25分、前回縦走時より5分遅いが好タイムであろう。FN短大の頃に記録した2時間10分は、今でも全部員の憧れであり、目標である。

 

丹沢山へは吉田を先頭にして歩いた。登りも下りも塔ノ岳までの道のりに比べればなんてことはない。くだらない話をしながら気持ちよく歩く。羽二生さんは途中単独で引き返すことも考えていたようだが、丹沢山到着時にはほぼ完全に回復しているようで、この先も行動を共にできそうで安心した。ここまでで40分くらい計画書から巻いていたわけだが、まだ4分の1ちょっとしか来ていない。ここからが勝負どころと気合を入れなおし、自分を先頭に行動を再開する。丹沢山―蛭ヶ岳間は2度目である。主脈縦走時はガスに覆われており展望は効かなかったが、今回はある程度遠方まで見渡すことができた。序盤はいったん下ったあと、棚沢の頭に向かって少しずつ登っていく。このあたりも階段が多い。丹沢は全域において階段の連続が特徴的である。晴れて歩く際は歩幅を決められているようで歩きにくいが、悪天候時にはスリップ防止に一役買っているのだろう。紅葉は稜線上から裾野に移り、緑と赤や黄色のコントラストが眼下に見えた。棚沢の頭付近からはなだらかなアップダウンが続き、全体として下がっていく。歩いていると蛭ヶ岳山頂の小屋が遠くに見え、自然と足早になる。今回のポイントはメンバーの誰もが未踏破である蛭ヶ岳―檜洞丸間であり、インターネット上の記録を見ていてもアップダウンが激しく時間がかかる箇所なのである。通常は山と高原地図のコースタイムをそのまま計画書に記載しているので、普通に歩くだけで余裕を持った山行を行うことができたが、今回は日帰りで完走できるよう作成したため、そのコースタイムから大幅に削ったタイムを計画書に記入していた。歩行経験がある蛭ヶ岳手前でタイムを稼いでおきたい、その思いで鬼ヶ岩をあっという間に過ぎ、最後の登りを迎える。丹沢山―蛭ヶ岳間はコースタイム1時間半のところ1時間で歩くことができ、ここまでで合計1時間ほど余裕が生まれた。蛭ヶ岳は神奈川県の最高峰であり、丹沢でも日帰りで行きにくい山であるためなかなか訪れづらい。山頂からは富士山も見えるが、今回はちょうど富士山が見える位置に雲がかかっており、全景を見ることはかなわなかった。お昼を食べ20分ほど休憩する。記念撮影も済ませ、いよいよ出発。檜洞丸に続く道には難路であることを示す注意喚起の看板が立っている。昨年6月に訪れ初めて見た時は恐ろしかったが、その経験を踏まえて今回は相当の準備を行ってきている。今回こそは完走できると自分に言い聞かせ、難所に突入する。

 

蛭ヶ岳からいきなり数百メートル下ることになる。最初は緩やかで道もしっかりしていたが、すぐに尾根が細くなり、これまでたどってきたルートに比べて整備される頻度が少ないと思われる道になった。途中鎖を用いた急坂もいくつかあり、今までのようなペースで下るのが難しい箇所も現れた。下から登ってくる登山者もいるので、落石は要注意だ。逆走する場合にはこのあたりが一番きついのではないだろうか。道も細いので行き違いも一苦労である。西丹沢山域に入った実感を覚えながら下っていくと、宿泊装備を背負った大学生と見られるパーティーとすれ違った。丹沢にはテント泊できる場所はないのにと話していると、避難小屋に泊まっていたらしい。今日は蛭ヶ岳山荘に泊り、翌日下山するようだ。西丹沢の畦ヶ丸あたりには避難小屋があるのを思い出し、こういった小屋を利用して縦走すれば、お金を安く抑えた宿泊山行が可能なのだなと思った。後日調べてみると西丹沢ビジターセンター以西に避難小屋がいくつかあり、甲相国境尾根から尾根伝いに2泊ほどの縦走が可能であることが分かった。3月末など、本格的な夏山登山前に宿泊山行のリハビリをするにあたってもってこいの山域ではないかと注目している。臼ヶ岳までは一下り一登りといった感じで、アップダウンが激しくはなかった。蛭ヶ岳からの下りこそ落石注意な急坂であったが、登りは比較的なだらかで、歩きやすかった。臼ヶ岳から金山谷乗越を経て檜洞丸に続くルートが、丹沢の最深部というにふさわしい山深くアップダウンに富んだ道であった。名もない山や谷をいくつか越えて、もうそろそろ着いてほしい!と思った頃に金山谷乗越を通過する。付近はやせ尾根を歩く道で、崩れ落ちて一層細くなっている箇所も見られて注意を要する。一番疲労も溜まってくるころで、気が抜けない。かなり体力を消耗していたと思うが、いつか実現させたいと思っていた丹沢主稜縦走を今まさに成し遂げているんだという思いが込み上げてきており、不思議と疲れを感じなかった。後ろを振り返ると越えてきた山越しに蛭ヶ岳と昨年歩いた焼山への主脈路が見えた。アルプスのような絶景はなく、代わり映えのしない景色が続くが、アップダウンがあるぶん道は変化に富んでおり、経過時間以上に長いと感じることはなかった。

 

檜洞丸に着いたときには全体で50分巻いているという状況であった。蛭ヶ岳―檜洞丸間の計画書に記載したコースタイムからは20分ほど遅れての到着であるわけだが、個人的には十分であった。山と高原地図のコースタイムから大幅に削って記載している以上、今まで稼いでいたタイムを相殺してしまうことも覚悟していた。この区間を歩く際には是非今回のタイムも参考にしていただきたいと思う。山頂付近には2人ほどしかおらず、半年前に来た時の賑わいは一切なかった。檜洞丸だけ登るならこの時間までいるはずがない。縦走してきたからこそ感じられた雰囲気が何ともいえなかった。西丹沢ビジターセンターまでの下山路は半年前登ったルートを下る。1年生の佐々木を先頭に歩いていくが、一度歩いたことのある道なので安心感がある。11月という季節柄どんどん日が沈んでいくのが目に見えて分かるので、一抹の不安を抱えながらの下山となる。要所要所の風景が記憶にあったので迷うことはないと思ったが、落ち葉が多く先頭に慣れていない佐々木は道を見失いそうになる場面もあった。冬の低山山行はより一層道迷いには気をつけなければならない。うちの部の特徴として、下りはなかなかペースが上がらずコースタイムと変わらない結果に終わるということがある。檜洞丸までの道でぐいぐいタイムを稼いできただけに、コースタイムとぴったしのペースで下っていると判明した時は驚いた。日もだんだん落ちてきており、ゴーラ沢出合からは自分が再び先頭に立ち、メンバーを急がせる。斜面の陰になって日がさえぎられる個所ではライトをつけたほうがいいのではないかと思うほど暗くなってきていた。大倉バス停出発から9時間、ようやく舗装された道路に出る。登山道を離れた途端雨が降り出し、すぐに本降りとなっていった。まるで自分たちが下山するのを待っていたようである。最後まで晴れ男先輩の偉大さを感じさせられながら、バス停までの最後の道のりを歩いた。

 

 こうして念願の丹沢主稜縦走を達成し、主脈縦走と合わせて丹沢の主峰をほぼ制覇することができた。かなりの負荷がかかったはずであるが、その割にあまり疲労を感じることなく歩けたのはよかった。先輩方でもかなり疲れていて、次週の山行に支障をきたしてしまうくらいだからそれなりにハードな山行であるのは間違いない。この前の週も雲取山日帰りというロングコースに臨んだわけだが、日帰りで目一杯歩きたい自分にとっては非常に満足できるものとなった。自分の物好きな山行に偵察山行なども含めて参加してくださった先輩方に改めて感謝の気持ちを伝えたい。今回参加してくれた後輩たちには、是非来年以降日帰りロングトレイルの魅力を他の部員に広めてもらいたい。丹沢の山々に来年戻ってくることができるか分からないが、今回の山行は自分の山岳史上忘れられないものになるだろう。

 

 竜ヶ馬場から富士山方面を望む(10:18撮影)
 

 鬼ヶ岩から蛭ヶ岳を望む(11:30撮影)
 

蛭ヶ岳山頂(12:08撮影)

 檜洞丸近くにある、青ヶ岳山荘にて。(14:40撮影)