常念山脈縦走(17/08/17-19)


 

☆天気

 

8/171日目):昼、曇りときどき晴。夜から雨。

 

予報では雨とあったが曇り 

 

8/182日目):朝、雨ときどき曇り。昼、曇りときどき晴。夕方から一時雨

 

朝は時々強い雨、昼過ぎ頃から曇り時々日差しもあった

 

8/193日目):朝、晴れのち雨。昼、曇。

 

起床時は快晴、午前5時から8時は時々雨が降ったりで不安定、日中は晴れ

 

 

 

☆コースタイム

 

8/171日目):穂高駅1030===1115中房温泉1135---13082ベンチ---1500合戦小屋1505---1608燕山荘(泊)

 

8/182日目):起床0300→燕山荘(デポ)0447---0515燕岳0527---0545燕山荘燕山荘0730 ---0823大下りノ頭0831 ---1045大天荘1052---1058大天井岳1103---1108大天荘1136 ---1408常念小屋(泊)

 

8/193日目):起床0330→常念小屋(デポ)0450---0610常念岳0615---0704常念小屋常念小屋0800---0858胸突八丁---1021王滝ベンチ---1108一ノ沢登山口===1145穂高駅

 

 

 

☆行動と感想

 

 (1日目)

 

前回の北岳合宿で装備が重すぎてほかの人に持ってもらうことになってしまった反省から、行動食を減らし(前回は大量に余った)、着替えその他も軽量化した。そのため今回は、16㎏台と無理のない重さに抑えることができた。中房温泉までのジャンボタクシーでは酔い止めを持ってこなかったことを後悔したが、それ以外では装備を減らしたことによる問題は起こらなかった。軽量化してもてるてる坊主はザックにぶら下げてきて、今回の山行ではそれが時々効果を発揮してくれたように思った。

 

 

 

福家さんが体調不良で欠席とのことで、今回は8人のパーティーとなった。私は松本駅まで特急列車の指定席を利用したが、自由席でも十分座れたようだった。車内で概念図を書いたり、本を読んだりしてのんびり過ごしていたら、思ったより早く松本駅に着いた。

 

 

 

しばらく準備時間を取った後、中房温泉から樹林帯を登り始めた。坂本さんがゆっくり歩いてくださったし、暑さもそこまで厳しいものではなかったので、体力的にはかなり余裕があった。北アルプス三大急登と言われる部分も、それほど息が切れることなく登りきることができた。しかし、合戦小屋到着時点でコースタイムを30分超過していたため、ここのすいかを食べる時間はなかった。

 

 

 

予報では午後にかけて天気が下り坂とのことだったが、燕山荘まで雨はほとんど降らなかった。雲の隙間から青空がのぞくこともあり、燕山荘から見える燕岳がきれいだった。山荘に到着したときには16時を過ぎており(予定では1550)、雨が降らないうちに急いでテントを立てる必要があった。しかし、まだ青空が見えていたため、私は坂本さんに言われるまで、急がなければいけない状況だと考えていなかった。これからは自分で天候変化、日没時間、コースタイムとの差異などを考慮して、先を見て行動したい。テントの設営方法はわかっていたつもりだったが、順番を間違えたりして手間取ってしまった。また、V6設営時にポールが折れてしまい、テーピング用のテープで応急処置をするようなハプニングもあり、すべてのテントが立つまでに時間がかかってしまった。

 

 

 

食事の支度はスムーズにでき、トマトカレーとご飯がちょうどよいタイミングで出来上がった。また、味付けにコンソメを加えたので(入れすぎた気もするが)、元のレシピよりもおいしくなったと思う。先輩から、食事メニューを考えるときには、テン場到着時間も頭に入れて、到着が遅い時には時間のかかるメニューは避けたほうがいいとアドバイスされた。ご飯を炊くのには時間がかかるので、今回のような場合は早茹でパスタなどにしたほうがよかったかもしれない。

 

 

 

食事のあとのミーティングで、翌日の行動について伝えられた。天候によっては停滞したり、燕岳だけ登ることになるかもしれないと伝えられた。起床時間と行動時間を当初の計画より30分早め、3時起床4時出発予定に変更することになった。時間が押してしまったため、テントで寝る支度をしていると、あっという間に暗くなってしまった。23時ごろに激しい雨音で目が覚めたが、ほかはぐっすりと眠ることができた。

 

 

 

2日目)

 

3時(女子テンは250分)に起床すると、案の定雨が降っていた。テントに雨粒が当たってバチバチと音を立てているのを聞いて、今日は行動できるだろうかと心配になった。テントでスープとパンの朝食を済ませ、天気の様子を見ていたが、雨が上がったため5時前に燕岳に登り始めた。燕岳の斜面は、足元は砂利が敷かれたみたいになっていて、そのあちこちに、巨石がそびえているような感じだった。角が取れて、表面がざらざらした巨石を見て、もともと四角かった巨石が風雨に削られて、粉々の砂利になり、このような地形ができたのだろうかと想像すると、大昔からの自然の厳しさが垣間見えたような気がした。山頂は薄曇りだったが、燕山荘や北アルプスの山々を見渡すことができた。なかでも槍ヶ岳はひときわ目立っていた。槍ヶ岳が描かれた小説をいくつか読んだことがあり、実物を見るのを楽しみにしていたが、本当に槍のようにそびえたっていて、とてもかっこよかった。

 

 

 

下り始めてから、また雨が降り出した。下山中に見たイルカ岩がかわいかった。確かに今にもジャンプしそうなイルカみたいだったし、その手前の岩もイルカの子どもに見えたから、親子のようだった。

 

 

 

燕山荘に戻り、雨が上がるのを待ってテントを撤収して、予定よりも1時間遅れで出発した。今回から自分の装備に裁縫セットを加えたのだが、出発前に宮川くんのザックの肩ベルトが裂けたときに、針と糸で応急処置ができたので、持ってきてよかったと思った。

 

 

 

空は曇っていたが、尾根を歩いていると、ときどき雲がとぎれて山が顔を出してくれた。尾根を右側から左側へ越えるときの登りがきつかった。道幅が狭く、すぐ横が急斜面になっているようなところや、鎖やはしごがかかっている大きな岩もあったが、体力に余裕があったので、転滑落には注意しつつ、そうした箇所を楽しむことができた。喜作レリーフの小林喜作という名前は本にも出てきたので、知り合いに会ったようでうれしかった。

 

 

 

余裕のあるペースだったからそう感じただけかもしれないが、以前よりも、上るときの身体の使い方のコツをつかんだ気がした。脚だけを使うのでも、無駄に勢いをつけるのでもなく、ちょっと重心を前にし、段差に足をかけたらおなかに力を入れて、走り高跳びの踏み切り練習みたいに上半身をうまく使って全身をぐっと持ち上げるようにすると、楽に感じた。全身を使うのは一見しんどそうだが、上手に使えば実は一番疲れない方法なのだと気付いた。また、岩場の下りは苦手だったが、目を動かしてどの石に足をかければいいかを見極めて進んでいくという動作に慣れてきた。先輩から、山を登るときには身体の使い方が大切だと言われたことがあったが、もしかしたらこういうことなのかもしれないと思った。ちょっと自分のレベルが上がったような感じがしてうれしかった。

 

 

 

大下りの頭から大天荘までは、コースタイムを15分縮めることができた。荷物をすべて置いて大天井岳へ歩き出すと、体が浮きそうなくらい軽く感じた。頂上にはあっという間についたが、ガスで何も見えなかった。今回が3度目の登頂という坂本さんでさえ、大天井岳から景色が見えたことがないとおっしゃっていたので、仕方ないかなと思った。大天荘に下りて長めの休憩を取っているときに辺りが明るくなり、青空が広がった。霧に包まれてモノトーンだった景色が一気に鮮やかな青や緑になる瞬間は、とても好きだなと思った。

 

 

 

そこからの稜線歩きは、右手に山々がみえてとても楽しかった。しかし、それに気を取られて足元から目を離してしまうこともあった。途中で休憩したところからの景色が本当にきれいで、たくさん写真を撮った。数分後には再び雲が迫ってきて、みんなで「早く早く!」といいながら、山が霧に覆われないうちに、大慌てでカメラに収めた。景色だけでなく、稜線自体も歩いていておもしろかった。これから進む稜線を一見すると、ひたすら草原が続いているように見えるのだが、実際は膝より下のハイマツの茂みだったり、背丈よりも高い木々のトンネルみたいになっていたりと、バリエーションに富んでいた。

 

 

 

途中で先頭が松橋さんに代わり、そのあと、私が初めて先頭を歩いてみた。アップダウンの少ない道だったが、石がごろごろしていた。後ろの人が同じ行動をとるかもしれないと考えると、いい加減に足場を選ぶわけにはいかず、なるべく確実な足場を探して足をかけるようにした。先頭に立つとつい足を速めたくなったが、後ろの様子になるべく気を配るようにして、ゆっくり確実に歩くように努めた。私が先頭にたってから、あたりが霧に覆われてしまい、稜線が見渡せなくなった。足元に夢中になっていたため、開けた場所に出ると、方向がわからなくなってしまった。本当にこの方向で合っているのかと不安になり、何度も坂本さんに聞いたし、休憩中にはコンパスを出した。最後は森の中を下って行ったが、小屋が見えてからが意外と長く、気がせいてしまった。先頭を歩くのは思ったよりも難しかったが、前に立っていないと見えない景色もあり、楽しかった。

 

 

 

1時間遅れで出発したにもかかわらず、常念小屋に到着した時には、遅れが8分に短縮されていたので、いいペースで歩けたと思う。テントは前の晩よりもスムーズに建てることができた。ご飯を炊き始めたころに雨が降ってきたので、各テントの前室でご飯や麻婆春雨を作った。

 

 

 

3日目)

 

計画通り330分(女子テンは320分)に起床し、テントから出て空を見上げると、雲の間からこれまでに見たことのないような星空が見えた。朝食用のお湯を沸かしている間もずっと見上げていた。雲が動けば別の星が見えた。これまで星座はどう考えても実物には見えないと思っていたが、星座を構成するような星は、星空の中でひときわ目立っていて、そんな星と星をつないで名前を付けた昔の人の気持ちがわかる気がした。流れ星が4回も見えた。阿部くんが秋の星座が見えると言っていた。

 

 

 

ラーメンのお湯が沸くのに思った以上の時間がかかり、430分出発予定だったのが20分近く遅れてしまった。水が足りず購入しに行かなければならなかったのも、遅れた要因の一つだろう。朝食がラーメンのときは、前日のうちに水を用意し、起床後すぐに沸かし始められるようにしておくほか、起床時間を早めるか、お湯が沸くまでの時間に交代でテントに戻ってザックの準備をするなどの工夫が必要ではないかと思った。寒かったので、温かいラーメンはうれしかった。

 

 

 

テン場を出ると、数人の登山客が日の出を待っているのが見えた。眼下には雲海が広がっていて、その下には遠くの街の明かりが見えた。今日はいい天気になるかなとわくわくした。常念岳を登り始めてすぐに、雲海から太陽が昇ってくるのが見えたと思うと、常念岳の岩々が金色に近いオレンジ色に輝いた。しばらくみんなで見とれていた。

 

 

 

しかし、そのあとすぐに、美しい日の出が嘘だったかのようにあたりに霧が立ち込め、残念ながら山頂はガスで真っ白だった。山頂に案内板があったので、「あそこに槍ヶ岳が見える」「稜線が見える」など、霧の中にあるはずの景色を想像力で楽しんだが、5分で山頂を後にした。下りている途中も雨が降ったり止んだりで、再びテント待機となった。てるてる坊主をテントに置いて行ってしまったので、てるてる坊主は常に持ち歩かないといけないというジンクスまで作られてしまった。景色がみられなかったのは残念だが、今度登るときに期待したい。石を積み重ねてできたような常念岳は、登ること自体も楽しい山だった。

 

 

 

雨が上がってからテントを撤収し、予定(730分)よりも30分以上遅れて下山を開始した。常念小屋自体が標高2450mで森林限界よりも下にあるので、歩き始めてすぐに樹林帯に入った。下りはいつもつま先が痛くなるので、いつもよりも靴紐をきつめにしたら、今回は痛くならなかった。高跳びをやっていた時の癖で右足ばかりに負担をかけていたらしく、右膝が痛くなったので、バランスよく足を使うようにした。自分のザックの大きさを考えずに木の枝をくぐって、枝の反動で後ろの佐々木くんを攻撃してしまうことがあったので、ザックの大きさをイメージして動かなければいけないと思った。登山客がすれ違うのが大変なほど狭い道もあった。登り優先なので、私たちは歩いては待つの繰り返しになることもあった。途中、松澤さんが谷側によけて足を滑らせ、転落しそうになる場面があり、ヒヤッとした。私も、ごつごつした下りに慣れてはきたものの、集中力が切れてほかのことが頭に浮かびだすと、つまずいたり、足を滑らせたりしてしまった。3日目で疲れもあったが、最後までしっかりと集中して安全に下山したい。

 

 

 

 道のりは長かったが、足元に注意しなければならないこともあって、時折登山客に道を譲るとき以外、だれもしゃべらなかった。タクシーを予約していた11時を過ぎてしまったなあと思っていたら視界が開け、タクシーが待機しているアスファルトの道に出た。

 

 

 

(総括)

 

 個人的には、3月の新歓山行から今回までで11回の山行に参加したことになる。まだ登りでの体力は全然足りないし、個人装備の重さもなかなか減らせないし、テントの設営などで手間取ることも多い。今回は食事係と記録係を両方務めた。概念図を描き、コースを予習していたつもりだったが、実際は記録するポイントを見落としそうになることもあった。予定のコースタイムは頭に入れておく必要があると感じた。その一方で、登り下りの身体の使い方のコツを少しつかめた実感があったし、テントでの宿泊などの生活面にも慣れてきた。また、天気がいい時だけでなく、霧や雨、風などの天候の中でも山行は楽しかったし、山行に参加するたびに山が好きになっていくのを感じる。これから体力的にもレベルアップしていきたい。

 

 

 

 北アルプスは南アルプスとは違って、ゴツゴツしていて険しかった。岩場が多いため、雨水もたまることなく沢に流されてしまうのだろう。北アルプスの水事情とお手洗い事情が思ったよりも厳しかったので、北アルプスに行くときには水の余分やウエットティッシュなどの用意が必要だと感じた。

 

 

 

 全体としては、1日目にコースタイムを大幅に超過し、テン場への到着が遅れてしまった。また、時間がない中、テント設営に手間取ってポールを破損してしまったり、ザックの肩ベルトが外れかけたりするハプニングがあった。テーピング用テープや裁縫セットなど、各自が持参した装備で応急処置をして乗り切ることができたが、修理セットがあまり活躍しなかったので、中身を見直す必要があると感じた。ガス缶は器具と違うメーカーだと、対応しない場合があるということも知った。経験の浅い6人を、坂本さんと松橋さんが丁寧にフォローしてくださったが、それに頼りすぎていた部分もあったように思う。これからは自分で状況を読んで、先を見て行動するようにしたい。

 

 

 

 2日目は、燕岳から槍ヶ岳を望むことができたし、稜線歩きも天気が良くてとても楽しかった。雨が心配されたが、予定通りのコースを歩くことができ、初めての北アルプス山行はとても充実していた。誰も体調を崩したり大きなケガをしたりすることなく下山できてよかったと思う。来月には1年生だけの日帰り山行もあるが、引き続き安全には十分に気を付けたい。

 

 

 

<1日目>

 

ずっと上りであったが、坂本さんが急な上りは遅めなペースで緩やかな上りは急ぎめというように絶妙なペース配分をしてくださったおかげでばてずに付いていくことができた。ゆっくり上ったうえに休憩も2,30分ごとにこまめにとっていたので到着がコースタイムより遅くなってしまったが、無理にペースをあげコースタイム通りに着く前にて皆へばるよりかはいいと思う。だが時間的に余裕がなく少し焦ったのは確かで、下級生ばかりであったからかもしれないがこのコースで上る場合1130出発がぎりぎりの時間で、それ以降の出発時間だと山荘に着くのが遅くなってしまうのではないかと感じた。テントの組み立てではV66人テントをたてるのに苦戦し、一回皆でテントの組み方を確認する必要性を感じた。テントや食事に時間がかかってしまったので、CLの指示を待つだけでなく、自分が次何をするべきなのか常に考えることが効率アップに繋がると思った。

 

<2日目>

 

起床した時から大雨で燕岳に上るか、また今日停滞して縦走をやめるかなどと行動計画が天気に大きく左右されると思われたが、最終的には燕岳も縦走も無事にでき良かった。雨が降らなくなった瞬間を狙って燕岳に上り、テントも畳めたので坂本さんの判断が素晴らしかったうえに運も良かったと思う。燕岳からは槍ヶ岳もまた北アルプス山脈の景色も見ることができた。縦走する稜線の景色も綺麗に見れ、自分たちがどういうところを歩くのか確認できた。常念小屋までの道は喜作レリーフから大天荘までの急登以外はあまりアップダウンがなく景色を楽しみながら歩けた。出発時間が遅かったものの、天気が良かったおかげもあってほぼコースタイム通りに到着できパーテイーの皆の体力の多さを感じた。雨でテントでの炊事となったが米炊きも夕飯作りもスムーズに行えた。

 

<3日目>

 

まず朝のラーメン作りに時間がかかり出発の時間が遅れてしまった。原因としては水の沸騰時間が思ったよりも長くかかったのと、ラーメンを茹でる用の水をしっかりと用意しておらず買いにいくので時間がロスしてしまったことがあげられる。前日から準備をしっかりと行い朝起床したらまずは水に火をかけることが必要だと感じた。起床時は満天の星空で常念岳からの絶景を期待したが、いざ上ると雲行きが怪しくなり山頂ではガスっており景色が何も見れなかったのが残念だった。常念岳の山肌はいままでの山と異なりずっと大きな岩がごろごろとあり上りにくかった。個人的には帰りの下りが一番辛かった。急な下りのうえに岩がごろごろしているので、どこに足を置けばいいのか常に考えながら下る必要があり集中力を要した。足の置き場が悪く何度か転びそうになったのでまだまだ経験が足りないと感じた。上りの対向者が多く狭い道をどこでそしてどのタイミングで譲るかで時間を使った。黙々と頑張って下ったもののコースタイム通りであったことには驚いた。

 

<全体>

 

北アルプスの山行は南アルプスと違い石や岩が多く、上るのに体全体を使ったり、下りの膝への負担が大きかったりして山行するのに厳しい印象をうけた。しかしその分緑と灰色の岩のコントラストが美しいと感じた。さらに、今回は上級生よりも下級生の人数のほうが多く自らが積極的に山行に関わったという点で、今までの上級者が計画したものにくっついていくという山行とは大きく違った。先輩方の天気をもとにしたこれからの行動計画の判断や休憩のとるタイミングなどを間近にみることができ、たいへん勉強となった。自分が上級生となって下級生を引き連れて山行する際はいろいろな状況に備えた2,3歩先のことを考慮した行動や思考が必要なのだなと学んだ。また個人的には初めて80lのリュックを背負った山行となり、なんとか最後まで共同装備を含め持つことができたので精神的にも体力的にも鍛えられた山行となった。

 

 

 

CLの感想>

 

自身3度目の北アルプス常念山脈縦走である。1年の頃に当時4年生の先輩に連れられて初挑戦した山行から丸2年、今回は自分を除いて後輩7人中6人は北アルプス自体が初めてであり、縦走自体も初めてというメンバー構成で臨んだ(ここでいう縦走とは、Ⅰ2泊以上山中で宿泊、Ⅱ基本的に来た道を引き返さない、Ⅲ複数の山を越えていく、という意味で使用)。本山行前に行われた北岳合宿にて後輩たちの注意点をいくつか聞いており、それに加えて天候もイマイチな予報で、出発前はかなり不安であった。収録山行から帰宅することなく連荘で入山というのも初めてであり、狭いホテルで装備の整備を行うのはけっして気持ちがいいものではなかった。そんな不安要素だらけの中、34年生が自分ただ一人という状況での縦走判断は非常に苦労した。普段であれば内海主将はじめ先輩の意見や助言を踏まえた判断となるし、そうでなくても同期が自分以外にもいて相談しながら考えられた。今回SLを務めてくれた松橋は研修経験もあり雲ノ平合宿にも参加している今後期待の部員であるが、縦走は今年が初めてである。自分自身の判断がパーティの進退を左右することに変わりはなかった。以下は自分が本山行で行った判断過程を綴る。良かった点悪かった点含めて、後輩たちには今後の参考にしてもらいたい。

 

1日目は夕食が終わるまで天気が持ってくれたものの、2日目の予報は雨で、昼頃にかけて降り続くという予報であった。松橋と相談した上で、翌日は3時起床として4時に燕岳に向けて出発という一応の方針を定めた。行程表では4時半出発から逆算して3時半起床というつもりであったが、どうせ雨の中を進むのであれば行動時間をなるべく長くとるべきであるし、下級生中心のメンバー構成と悪天候によりテント撤収に普段以上の時間を要すると考えられたための変更であった。夜の時点では①2日目は基本的に停滞し、午後天候が回復した場合に限り空身で燕山荘を中心に周辺を散策する。天候が回復する予報の3日目には燕岳に登頂し、来た道を引き返し中房温泉へ下山。②2日目は行程途中の大天荘で停止。3日目は大天井岳に再登頂、常念岳登頂を断念し常念小屋を経由し一ノ沢へ下山。③行程完遂を目指す。という3つの選択肢を考えていたが、悪天候下逃げ場のない縦走路を初縦走&初北アルプスというメンバーが大半のパーティを連れて歩くのは正直気が引けていた。収録山行から数えると4日目という自身の疲労もあったであろうし、テントポールの故障という事実も重くのしかかっていた。夕食後メンバーに選択肢を伝えたうえで反応を見ると、皆基本的に縦走したいという気持ちが強いようであった。自分が1年のときは、少しでも天気が悪いなら停滞して濡れたくないという気持ちが勝っていた気がするが、後輩たちはそれ以上に可能であるなら先に進みたいという意思が見て取れた。あそこで他のメンバーも自分と同じような反応であれば1日目の時点で縦走を諦めていたかもしれない。無事予定の行程を完走できた最大の要因は、後輩たちのガッツであろうと思う。

 

迎えた2日目の朝、目を覚ましたときにはシトシト程度の雨であった。しかし寝ている間に何度か目が覚めるような激しい雨に見舞われており(テントの中でもなかなか目を覚まさない自分が目を覚ますような雨は、相当なものである。)、あの雨の中でのテント撤収は何としても避けたいと思った。前日に指示した通り各テントで朝食をとっていると、急激に雨風が強まってきた。こんな中で燕岳に登っても、景色はおろか全身ずぶぬれになるだけで何もいいことがないと判断し、4時の出発を中止し、すぐテントから出られるようにアタックザックを準備して待機という指示を340分ごろ各テントに出した。この時点での松橋との話し合いでは、いっそのこと燕岳登頂を断念し、天候が少しでも落ち着いたらテントを撤収し縦走を開始するというのも1つの選択肢として挙げられていた。眺望が期待できない山に行って時間を消費してしまうより、なるべく多くの時間を残して縦走を開始することで常念小屋到達の可能性を少しでも高め、3日目の天候回復を期待したいという判断である。大天荘止まりという選択肢もあることから、12時に大天荘を出発できない場合大天荘で行動終了という判断基準を設け、燕山荘での縦走最終判断を10時ごろとした。この風雨の中でもテントの外で調理をしている大学山岳部らしき一団を見て、とても自分には真似できないなと感心しながらテントで寝そべっていると、徐々に風雨が弱まってきた。外を見てみると信州側は雲が薄くなってきている。時計を見ると4時半くらいであったが、これであれば大して雨に濡れずに燕岳登頂できるかもしれないということで、445分出発として各テントに出発準備を指示した。テントをたたみ始める人たちもいたが、ここで撤収を完了できてもザックを放置して行かざるをえず、戻ってくる前に本降りになったらザックがもろに濡れてしまうという判断から、自分たちは燕岳登頂後にテント撤収することにして燕山荘を後にした。結果的に燕岳からは槍ヶ岳や表銀座の縦走路が綺麗に見えて、雨もほとんど降られずに山頂を堪能することができた。しかし燕山荘に戻る途中で再び雨が降り出し、テントに戻り撤収準備をしていると一気に本降りに戻ってきた。風も非常に強くなり、ここで再び待機の指示を出すことになった。テント撤収を完了しかけていた人たちは、この天候の中をとどまるわけにもいかず何とか行動を開始しようとしていたのが可哀想であった。出発予定時刻であった6時半になった頃、雨もようやくマシになってきて空も多少明るくなってきたため、ここで撤収開始を決断する。今のタイミングであれば、まだ常念小屋到達も不可能ではないという期待を込めてであった。結果的にこれが功を奏し、撤収時にはほとんど雨に降られることなく出発準備が完了した。宮川のザック故障には本当に焦ったが、川原の裁縫道具とザックを軽くできたおかげで、この後損傷が拡大しなくて良かったと思う。縦走中何回か雨に見舞われたが、いずれも大したものではなく2日目に無事常念小屋までたどり着いたときは心底ほっとした。

 

今回はペース配分にもかなり気を使った。1日目入りが大事だと思いいつも以上にゆっくり進んでいたらかなりコースタイムをオーバーしてしまい、燕山荘のテント場が狭いという事前知識も相まって終盤は少し焦っていたように思う。ただすぐ後ろの女性陣がこれ以上ペースをあげたらついて行ける自信がないと言っているのを聞いて、メンバーからすると決して遅すぎるペースではなかったと分かり安心した。この日の夜記録係に確認してみると、行程の前半部分で遅れのほとんどを生じさせており、後半はコースタイム通りか少し早いくらいであったということが分かった。合戦小屋で30分の遅れがあったのを燕山荘到着までに18分まで縮められたのはよかったのではないか。先頭は自分でペースを考えるだけでなく、他のメンバーにペースがどうか直接聞いて判断してもらうべきであり、そのために後ろが率直な意見を言いやすい雰囲気を作っておくのも大切だなと感じた。

 

登りが続いたりすると徐々に会話もなくなり、パーティ全体の空気が重くなるときが出てくる。そんなときリーダーが積極的に声を出していくのも大事だと思う。自分は今回あとどのくらいで休憩するとかを声に出して、少し先に指標を設けることを意識していた。辛い道でも、あと5分で休憩だと思えばいくらか頑張れるだろうし、漫然と歩くことも少なくなるだろう。内海主将も言ってることだが、先頭は常に心の余裕を持って登っていることが大切である。今回は松橋と川原に途中先頭を任せてみたが、天気が急変して視界不良の中先頭を歩かせてしまった川原には申し訳ないことをした。経験させたい気持ちはあったが、天候が変わった時点で交代すればよかったと思う。

 

装備分担にも問題があった。今回の山行では、結果的にCLSL6人用テントを1つずつ持つなど、共同装備の負担に大きな差があったと思われる。自分としてはとにかく縦走を経験してもらうのが第一であり、重い荷物をもってそれを行うのは二の次であるという判断から、少しでも行程完走の可能性が増えるよう雲ノ平合宿で重い荷物の縦走経験がある2人でその大部分を負担することにした。ただ後で振り返ってみると、ある意味これは後輩たちを信用できていないが故の判断であり、リーダーとしてあるべき姿ではないようにも思える。もっと重い荷物を背負って縦走することこそ自信につながるのであり、大して持っていないで完走しても不本意に思っている人がいるとしたら、反省しなければならないだろう。そんな中でも女子2人が初めて80リットルザックを背負い、4人用テントを2人で背負っていたのは一つの収穫ではないか。今回は6人用テントで泊まったが、今年中は女子3人が4人用テントで宿泊するのがほとんどであろうから、自分たちの使う装備を自分たちで運ぶことができたのは非常に意義があると思う。

 

長々と書いたが、自分自身この山行で得るものは多かった。山行終了後は疲労困憊で雲ノ平合宿以上にぐったりしていたが、このメンバーで行けて本当に良かったと思う。

 

 

燕岳山頂から槍ヶ岳を望む(8/18 515 撮影:川原)

 

燕岳山頂から燕山荘、表銀座縦走路を望む(8/18 518

 

 

東天井岳付近から常念岳を望む(8/18 1238 撮影:川原)

 

 

常念岳からの日の出(8/19 510 撮影:川原)