1年生企画@塔ノ岳・鍋割山(17/09/24)


 

☆天気

 

晴れ・霧

 

 

 

☆コースタイム

 

9/241日目):渋沢駅0714===0733大倉0738---0803観音茶屋---0855駒止茶屋---0955花立山荘---1009金冷シ---1022塔ノ岳山頂1035---1047金冷シ---1133鍋割山1210---1238後沢乗越1243---1311二俣---1416大倉

 

 

 

☆行動と感想

 

今回の山行は一年生主体の個人山行として、川原が企画してくれたものだった。部会の時間に必修の授業が入ってしまったりして、普段はほとんど全員が揃う機会がなく、以前から何らかのかたちで1年生が全員集まるような時宜はないかと1年生同士で話はしていたが、このように山岳部らしく登山で一年生の全員が顔を合わせることができた。

 

丹沢を選んだのは、第一に、今年の6月に日帰りで登ったことがあり、一年生だけの山行でも安全だろうということ、そして、この春夏にアルプスを中心に登ってきた経験がどれほど実力に結び付いているのか、急登で有名なバカ尾根こと大倉尾根でみてみたいということからだった。

 

時間通りに全員が渋沢駅に集合し、バスで大倉の登山口へ向かった。バスがロータリーに着くと「ここだ、ここだ」と前回登った時の記憶が思い起こされ、あのつらいバカ尾根の記憶がよみがえってきた。前回は登山を本格的に始めてから日が浅く、経験が乏しかったのに加えて、天気が良く気温が高かったので、相当辛い登りだと感じていた。今回は少しの不安はあったものの、この夏に宿泊山行でそれなりに経験を積んだし、荷物も必要最低限のものだけを持ってきていたのでとても軽く、バカ尾根とはいえ何とかなるだろうという安心感もあった。

 

大倉のバス停から登山道は意外に長い舗装路が続いていた。今回のCLは阿部であった。初めてCLの役割を振られたこともあってか、すこし緊張していたようだ。まだ、本格的な登山道に入っていないのに、地図を見たり、標識を確認したり、かなり慎重になりながら先頭を歩いていた。自分はその時、2番目で歩いていたが、阿部とは対照的に楽観的に歩いていた。

 

 

 

本格的な登山道に入ってからも楽な道が続き、会話をしながら歩くことができるくらいだった。ここでも阿部は慎重になって先頭を務めていた。登山道に入ってから30分くらいが経過して、阿部が休憩を取ろうといった。個人的には楽な道が続いていたし、他のメンバーもあまり疲れていないようだったから、もう少し歩き続けてもいいと思っていた。しかし、後から考えてみれば、このタイミングで休憩を入れたのは賢い選択だった。この後に急な階段が続いたので、休憩をしていなければ、かなり足が重くなっていたかもしれない。駒止茶屋までの道のりに幅の広い林道が広がっていた。風はあまり吹いていなかったが、木々のおかげで少し涼しいと思っていると、登山道からそれほど離れていない林に鹿がいた。登山中に鹿ほど大きな動物を見たのは初めてだったので感動してしまい、思わずスマートフォンを取り出して写真に収めてしまった。(写真参照)丹沢は人気の登山スポットであり土日ともなると登山客でいっぱいだが、そんな場所でこのように至近距離で野生動物を愛でることができ、運に恵まれていた。

 

駒止茶屋あたりで川原が先頭を務めることになった。彼女の記憶によればこのあたりでいわゆるバカ尾根が始まるということで、その辛い道をどう乗り越えるか試してみたいとのことだった。花立山荘を越えたころからだんだんと道が厳しくなり、傾斜が激しくなっていった。さすがに登り始めのように会話ができるような状況ではなくなり、だんだんと息が上がってくるようになった。しかし、思っていたほど急坂も長くなかった。以前来たときはひたすら急な山道を登り続ける苦行のように感じていたが、1年目の夏を終えて成長したのだろうか、“バカ尾根もこんなものか”と感じるほどあっさり登ることができてしまった。もちろん、汗はかいたし、多少は疲れを感じていたけど、前回ほどの厳しさは感じなかった。

 

山頂に近づくにつれて霧が濃くなっていき、山頂直前では数十メートルさきは真っ白でなにも見えないという状態だった。金冷シを通過して、塔ノ岳山頂に到着すると、霧に包まれて山頂からの景色はほとんど見ることができなかった。景色は見えなくても山頂は山頂であり、山の碑を見たりすると達成感が湧いた。恐れていたバカ尾根もコースタイムを縮めて踏破することができ、満足した気分でいた。ここでの休憩は10分程度にとどめて、鍋割山へ向けて再び歩き始めた。

 

塔ノ岳山頂から鍋割山の道のりは楽なものであり、コースタイムよりもだいぶ早く歩くことができた。自分たちが到着したころには鍋割山はすでに多くの登山客でにぎわっていた。到着した時点で昼が近かったのでここで昼食をとることにした。それほど気温は高くなく、過ごしやすい環境だったので少しのんびりしていた。

 

鍋割山の下山からはかなりのスピードで進んでいった。これまでの登りも比較的速く、コースタイムをある程度縮めていたが、この下山ではそれ以上の速度で下っていった。この時は先頭を経験者の三宅が務めており、他のメンバーは先頭についていくので精一杯のようだった。幸い怪我をしたものはいなかったが、少し足元が滑ったりしたので、速さのためにやや注意がかけていたかもしれない。たしかに、スピードを意識して登山をすることは重要であると思うが、スピードを出せる箇所とそうでない箇所の見極めを、道の状況・メンバーの実力などの要素を総合的に鑑みて実行するのも同様に大切なことだ。

 

スピード感のある下山のおかげであっという間に林道に入り、今回の登山もほぼ終わりのムードが漂っていた。幅の広い林道を歩きながら、大学の勉強のことや部のことなどいろいろ語り合った。途中に沢があったり、人口の滝のようなものがあったりと、水のおかげで疲れが癒されたように感じた。最後の林道は地図上では長いが、会話しながら歩いていたせいか、あっという間に林道を抜けて、当初の予定よりもだいぶ早く大倉に戻ることができた。

 

今回は上級生のいない、1年生だけの山行だった。これまでの山行では日帰りのものでも、テント泊があるものでも、必ず上級生がいた。毎回の山行で役割が割り振られて1年生といえどもすべて上級生にまかせっきりということはなかったが、コースの選定など大部分は先輩方が行っていた。そんなかたちで登山をしていたので、1年生の自分は先輩に山へ連れていってもらっているという印象が心の中にあった。しかし今回はCLSL1年生だったので、自分たちが予定から実際の登山まで主体的に取り組むようになった。最初は1年生だけの登山ということに少し不安を感じていたが、登ってみると案外、うまく集団として機能していた。特にCLだった阿部は最初こそ慎重になりすぎている節もあったが、中盤以降はリーダーとしてグループ全体を見渡したり、注意を促したりしてグループをコントロールできていた。

 

日帰りの山行であるし、ほとんどのメンバーが1度登ったコースであるので、比較的易しい登山ではあったが、1年生だけの山行としては良い経験になったと思う。これから部の主要なメンバーになっていくことを考えると、有意義なものであったし、何よりも同学年としての結束が固まったと思う。

 

 

 

☆計画者の感想

 

今回の1年生山行を提案したのは、同級生ともっとたくさん話してみたいと思ったからだ。山岳部は先輩・後輩関係なく話しやすい雰囲気なのだが、その分同級生としっかり話す機会は、これまで意外と少なかった。思い切って1年生に声をかけてみたところ、4人全員が参加したいと言ってくれた。丹沢には6月に行ったことがあり、その時はバカ尾根でへとへとになった。夏の山行を経てもう一度挑んでみることで、自分がどれだけ成長したのかを確かめたかった。

 

 山行計画を立てたのは私だったが、体力的に余裕がないと考えて、CLはほかの人にお願いした。CLを引き受けてくれた阿部くんは、地図の印刷、教務課への届け出などの事前準備から、山行中の休憩時間やペース配分などへの気遣いまで、私よりもずっと責任感をもってリーダーの役割を果たしていた。ただ、山行を提案し、計画したからには、私が責任をもってCLを務めるべきではなかっただろうか。私はというと、SLだったにもかかわらず、教務課への届出は思いもつかなかったし、天気もYahoo!の平地のものしか見ていなかったし、帰りの電車やバスの時間も調べていなかった。

 

 自分の詰めの甘さに猛省しつつスタートしたが、この山行は非常に有意義なものとなった。何より、4人それぞれの、これまで気付かなかった面がたくさん見られた。この学年は、わいわいした雰囲気とは少し違うが、一緒にいると落ち着いた気持ちになれるメンバーだなと感じた。全員が先頭と最後尾を交代でやってみたのだが、それも良い経験になったと思う。一番後ろを歩くと、みんなの背中が思ったよりもよく見えた。背中を見ればその人の体調や疲れ具合がわかる気がしたので、今後自分が最後尾を歩くことがあったら、パーティーの雰囲気や個々の体調などにも気を使い、積極的に声かけができるようにしたい。でも、遅れたらみんなとはぐれてしまうという怖さもあり、先頭と同様、体力や技術に余裕がないと危ないポジションだと実感した。逆に先頭では、自分がペースを作るため疲れにくいのだが、後ろにいるのが全員男子だということもあって、自分が遅くてみんなにじれったい思いをさせているのではないかという不安に駆られた。そうした焦りもあって、前をゆっくり歩いている登山客がなかなか先に行かせてくれないと、そわそわしてしまった。また、前に進むのに必死で、対向者へのあいさつなどを忘れてしまうことがあった。私以外の人も、先頭や最後尾を経験したことで、それぞれに気付いたことがあるようだった。

 

 駒止茶屋から花立山荘まではコースタイムの6割で登った。この速さは6月に行った時とほとんど変わらないが、以前よりもつらさを感じなかった。自分が先頭を歩いていたのでペースを調整しやすかったという理由もあるとは思うが、終始「この先にもっときつい登りがあった気がするんだけどなあ」などと言いながら登って行って、花立山荘が見えてきたときには、「あれ?もう終わり?」と拍子抜けしてしまった。もう少しスピードを上げてもよかったなと思った。周りも同じように感じたようで、「成長したのかな」と言い合ってうれしくなった。花立山荘は通過してそのまま塔ノ岳山頂に行った。鍋割山の鍋焼きうどんがおいしかった。

 

 当初の予定では、コースタイム通りのペースでゆっくり歩くはずだったのだが、思った以上に順調に登れたことで勢いが付き、後半の山行はタイムアタックみたいになってしまった。三宅君を先頭にしてかなりのスピードで下山した。三宅君に付いて行きながら、一番の練習は、うまい人の後ろを歩くことだと改めて思った。これまでも先輩方の後ろを歩いてきて、その無駄のない歩き方を見ていろいろと吸収してきたが、三宅君もさすが経験者という感じで、ひょいひょいと下って行った。それをまねるようにして付いて行くと、とてもスムーズだった。ただ、相当な速さで下山していたため、登ってくる登山者に道を譲っていただくことも多かったし、「駆け足で下山するんですか?」と声をかけられることもあった。以前のコースタイムを縮められるのはうれしいことだが、それに気を取られて冷静さを失わないようにしたい。(部会でこのことついて話したところ、先輩方に、早いのに越したことはないと言われた。時間はなるべく余裕を持たせることが大切なので、力があるなら早く進む分には問題ないとのことで、なるほどと思った。)

 

 あっという間に沢の音が聞こえ始め、平坦な道に出た。単調な林道であったが、横並びで歩いていろんな話をするのはとても楽しかった。山の話、大学の授業の話、面白かった本の話などをするうちに、メンバーの意外な面を知ることができた。

 

実をいうと、山行の前はちょっと緊張していた。山行がどんな雰囲気になるのか想像もつかなかったし、自分がちゃんとコミュニケーションがとれるのかも心配だった。でも、実際はとても楽しかった。日帰りの簡単な山行ではあったが、自分たちが計画し、声を掛け合ってルートやペースに気を配り、無事に終わらせた山行なのだという実感があった。下山してから、今年中にまた企画したいという話にもなった。集まってくれた同期4人に感謝したい。

 

登山道の近くに鹿を見る(8:46)

鍋割山山頂にて、鍋焼きうどんを食べる(11:47)