夏合宿@北岳・間ノ岳(17/07/25-27)


〇コースタイム

 

1日目:

広河原1118---1137大樺沢ルート分岐1144---1340白根御池小屋(泊)

 

2日目:

0200起床→白根御池小屋0320---0525小太郎尾根0555---0624肩の小屋0637---0740北岳---0920北岳山荘(デポ・幕営)---1032中白根山---1140間ノ岳---1254中白根山---1327北岳山荘(泊)

 

3日目:

起床0330→北岳山荘0515---0632北岳---0711肩の小屋---0740小太郎尾根分岐---0920白根御池小屋---1205広河原

 

〇行動と感想

 

 今回の山行は夏季休暇期間を活かして、普段はできない23日の山行となった。事前の天気予報では3日間ともあまりよくはなく、雨の山行を覚悟したが、甲府駅に降り立つとこの日も例外でなく日が照り、日中はさらに暑くなるのだろうと思われた。

 

 パーティーは甲府駅で集まり、そこからバスで広河原へ向かった。バスには2時間乗ったが早起きで足りなかった睡眠を補うなどしていると意外と早く着いた。天気予報から広河原での天気の崩れを予想していたが、ここでも天気は崩れていなかった。そのため、当初の予定を変えることなく白根御池小屋を目指し、パーティーを二つに分けて、出発した。大樺沢との分岐あたりまでは緩やかな斜面であったが、登り始めて20分もすると急登となった。はじめのうちはペースよく進んでいたが、次第に息が切れてペースが落ちるメンバーもいたため、パーティー全体もゆっくり登ることになった。先頭を務めていたメンバーは急登をパーティー全体で行くにはどのくらいのペースで行くべきか、苦慮したものと思われる。途中で大きくペースが変わったが、全体的にはコースタイムより20分ほど早く白根御池小屋に着いた。2隊が到着するとすぐにテントを設営し、夕食の準備に取り掛かった。夕食のミネストローネは切った野菜やマカロニを入れ、コンソメで味を調えるものであったが、バランスよく栄養を摂れるうえ、たいへん美味しかった。夕食後はトランプなどで遊んでから就寝した。

 

 2日目は天気が荒れることが予想されたため、起床時間を1時間ほど早めた。朝食はお湯を沸かしてコーンスープを作り、各自持ってきたパンとともに食べた。朝食は簡単だったため問題は起きなかったが、撤収には時間がかかった。その原因は荷物をテントから運び出すのが遅れたため、テント担当のメンバーがテントをいつまでも回収できなかったことにあった。参加人数の多い山行では全体の動きが緩慢になりがちだが、計画を狂わせることになるので気を付けたい。撤収が終わり次第、1日目と同じメンバーで草スベリを登り始めた。前日以上の急登が続き雨も降り始めたので、斜面の途中でレインウェア・ザックカバーを取り出し装着した。標高が上がるにつれて、樹林から背の低い高山植物へと植生が変化していき、右股コースとの分岐あたりではほとんど大きな木は見られなくなった。急登は小太郎尾根分岐までずっと続いた。コースタイム通りに小太郎尾根分岐に到着すると陽が当たる中で雲が連山を流れていく絶景が見られた。この山行一番の絶景が見られたのはここではないかと思う。絶景にも励まされ、北岳肩の小屋、山頂を目指し再び登り始めた。草スベリよりは斜面は緩やかであったが、足場は雨でぬれた岩になっており転ばないように注意した。尾根伝いに登ったため、雲が出るまでは小太郎尾根分岐で見た絶景が自分たちの右側に展開しており、登山をしているのだという実感が改めて湧き上がってきた。おおよそ30分登ると肩の小屋に到着した。肩の小屋はちょうど標高3000mに位置しており、こんなに高いところに来たのかと感動した。                      

 

・2日目

 

 2日目は計画書にあった5:00よりも早く3:00に白根御池小屋を出発した。そのため、計画よりも大幅に早く肩の小屋に到着した。早朝から雨が降っていたが予想していたよりも強くなく、すぐに止んだ。肩の小屋に到着したときにはすっかり雨は降っていなかった。ところが、雨は降っていなかったもののガスが多く視界は悪かった。肩の小屋から北岳山頂までのルートは岩が多かったがそれほど苦にならず、山頂からの景色を期待して登っていった。

 

 北岳山頂につくと一時的にガスが晴れて景色を眺めることができた。もうひとつのパーティは先に山頂に到着していて、山頂で合流した。山頂に到達して気分が安らいだのか、みんな思い思いに写真をとったり、景色を楽しんだり、自由に行動していた。山頂近くで先輩に言われて気づいたが北岳は日本の山で富士山に次ぐ2番目に標高が高い山であった。そのことに気づいたとき、言葉にならないような感動と達成感が込み上げてきた。

 

 北岳山頂から北岳山荘が見えていたため、山荘までは案外近いのではないかと考えていたが、山荘までの道のりは岩も多く、アップダウンも何か所かあり意外と時間がかかった。早朝から行動を続けていたためパーティのメンバーも疲労がたまってきており、疲れが見えてきていた。メンバーの一人が山荘まであと少しの距離の場所で足元がふらついて、バテてしまって、ザックを先輩にもってもらうということもあった。結局、自分のパーティは怪我などなく全員無事に山荘に到着することができた。だがやはり、自分のパーティには体力が切れてしまった人もいたし、もう一つのパーティでは足をひねってしまった人もいた。このことから、山では目的地に到着するまで気が抜けないこと、万全の体力をつけることに改めて気づかされた。今回は自分の身には何事も起こらなかったが、次はどうなるのかわからない。今回の山行で得られた教訓―当たり前のことであるが―を忘れないようにしたい。

 

 北岳山荘につくと、テントを張り、少し休憩したのちに、最小限の荷物だけをもって、間ノ岳をめざした。間ノ岳まではそれほどきつい道もなく、荷物が軽かったため、それほど疲れずに登ることができた。ガスが多く視界が悪かったためか、何回か「これが間ノ岳のピークかな?」と思いつつ、到着してみると違ったという勘違いも生じた。間ノ岳山頂ではガスで景色を見ることはできなかったが、高山植物などが植生しており、むしろガスのおかげで幻想的な空間になっていた。

 

 間ノ岳下山後、北岳山荘についたが夕食の時間にはやや早すぎたため、昼寝をするなど体を休めていた。夕食は味噌汁を作り、米を炊いてレトルト食品をのせて食べた。夕食を作っている最中に雨が降ってきたため、夕食を食べた後はすぐにテントで眠りに就いた。

 

 

 

・3日目

 

 夜中は雨が降っていたこともあり、個人的には良い睡眠をとることはできなかった。最終日となる3日目は2日目のように行動開始を早めることもなく、計画通りに動き始めた。再び北岳山頂に向かい、前日通ったルートで下山していった。夜に雨が降っていたこともあり、地面がややぬかるんでいて、かつ北岳山荘から北岳山頂までは岩が多かったため、慎重に歩みを進めていった。北岳山頂をこえてからは基本的に下りであり、1日目・2日目と同じルートであったため下山のスピードはやや速かったかもしれない。天候は悪くはなかったが、雨が降ったり止んだりを繰り返し、レインウェアの着脱のタイミングがうまくつかめなかった。最終日とはいえ、2日目の間ノ岳は縦走ではなく荷物を置いて登っていたため、疲労困憊しているといった様子もなかった。

 

 草すべりのルートからは単調な道だった。前日は未明の暗いなかで登っていたためよくイメージがつかめないまま登っていたが、日が出て道の全貌が見えているぶん、単調さが際立っていたように思えた。しかしそんな単調な道も御池小屋のテント場が見えると、下山まであと少し、という気力がわいて一気呵成に下りきることができた。

 

 御池小屋でやや長い休憩をとった後は森の中の登山道を進んでいった。このころから日が照ってきたが、木のおかげで日光を遮りながら涼しく下ることができた。途中には沢もいくつかあり、広河原が近くなると川の音も聞こえてきた。これらの音を聞きながら快適に今回の登山の最後を迎えることができた。

 

 

 

・総括

 

今回の山行は自分にとって3回目の宿泊山行だった。3回目ではあったが、慣れるということはなく、パッキングで無駄に多くモノを詰め込みすぎてザックが重くなってしまったり、係の仕事を忘れかけたりと、いろいろと改善すべき点が多かった。

 

これまでの2回の宿泊山行と異なり、今回は登るルートと下山するルートが同じだったので、下山の際は目算をたてることができた。また間ノ岳は縦走ではなく最小限の荷物だけで登ったので、当初予想していたよりも疲れることはなかった。

 

南アルプスは初めてだったが、思っていたよりもきれいな景色と自然を愉しむことができて、今度は縦走でさらに奥の山々に挑戦したり、同じ南アルプス山域のほかの山にも登ってみたいと感じた。だがそのためにはこれからの日常のトレーニングが必要だということも痛感した。体力をつけて長期の宿泊山行に挑戦できるような体づくりを目指していきたい。

 

加えて、事前準備の大切さも学んだ。今回の山行の序盤で、自分は腹の調子がすぐれず、たびたびパーティの登山の進行を遅らせてしまった。パーティのメンバーに薬をもらったことで安定したが、本来は万が一のことも考えて自分が薬類はもっていくべきであった。これからは様々な想定をしてから登山に向かうべき、ということを考えさせられた。

いずれにしても今回の山行はただの夏合宿ではなく、多くのことが学べた山行になった。特に記録係になったことで、記録を作成する段階で普段の山行では気づかないようなことを改めて認識することになった。さらにともに助け合いながら今回の登山を完遂した部員全員に感謝したい。

白根御池小屋(7月25日13時55分)

夕食のミネストローネ(7月25日14時58分)

小太郎尾根分岐より(7月26日5時38分)