仙丈ヶ岳山行(18/9/15-16)


 

天気

 

 

 

1日目 :

 

 

 

2日目 : 曇り時々晴れ

 

 

 

 

 

 元々、この山行は北沢峠近くの長衛小屋をベースとし23日で甲斐駒ヶ岳・仙丈ヶ岳の二つの百名山に登るものだったが、天候不順のため1泊に短縮し、仙丈ヶ岳のみの登山となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コースタイム

 

 

 

9/15(1日目) 甲府駅1005 === 1158広河原1230 === 1245北沢峠1350 --- 1400長衛小屋キャンプ場()

 

 

 

9/16(2日目) 0330起床長衛小屋キャンプ場(デポ)0415 --- 0545藪沢・小仙丈ヶ岳分岐0550 --- 0635小仙丈ヶ岳0640 --- 0730仙丈ヶ岳0750 --- 0825丹渓新道・藪沢分岐 --- 0835馬の背ヒュッテ0845 --- 1015大平山荘 --- 1025北沢峠1030 --- 1035長衛小屋キャンプ場(デポ回収)1130 --- 1140北沢峠1330 === 1345広河原1400 === 1605甲府駅

 

 

 

 

 

 

 

 

 

行動と感想

 

 

 

 

 

(1日目)

 

 

 

 437分国立駅発。一人で部室前泊の予定だったものの諸事情により睡眠が取れず、中央線の始発に乗り込む。途中2回の乗り継ぎを経て甲府駅へ。甲府からはバスで広河原を経由して北沢峠に向かうが、集合時刻まで3時間以上あるので、とりあえずスターバックスで休憩ついでに携帯を充電し、その後甲府城を見学しに行った。まだまだ時間があるので甲府城の資料館を覗いてみる。(16世紀末の築城なのか... 天守台も織豊期後期には切石積みが主流になってくるはず(?)なのに野面積みで石を積むのも珍しいなあ、それにしても野面積みの技術は凄いなあ、などとなけなしの城の知識を振り絞って400年前に思いを馳せていると、)集合時刻が近づいてきたのでバス乗り場へ。電車の遅延のため3名が遅れてくるようなので、先輩と二人で先に山梨交通のバスに乗り込み、広河原、そして北沢峠に向かうことにする。私にとって初めての南アルプス。

 

 

 

 非常に眠たかったため長い道中の様子はよく覚えていないが、夜叉神峠下のトンネルを通り抜けたあたりでふと外に目を向けると、霧の間から左右に崖を従えた野呂川がかなり下に見えている。広河原で南アルプス市営のマイクロバスに乗り換えてからはさらにダイナミックな地形になり、よくこんな険所に道を通したなと感心するばかりだった。入山者は登山客と源流釣り師のみ。ドレスコードは登山ウェア。北アの上高地とは全く異なる登山拠点の姿。こちらの方が好きかもしれない。ところで仙丈ヶ岳は標高が千丈だから仙丈ヶ岳なのか。3030m=千丈=一万尺。アルプス一万尺。

 

 

 

 お昼過ぎに北沢峠に到着し、昼食をとり、長衛小屋のテントサイトの申し込みだけ済ませたが、全日移動日なのでするべきことも少なく、後着の先輩方を待ってテント(6テンと4テン)を張り、夕食を作って食べる。トマトスープの美味しさが身にしみる。今回の山行では夕食、朝食共に、いかに早く、無駄無く、美味しいものを作るか綿密に計画されており、食料担当の先輩の意気込みを感じた。

 

 

 

 ちなみに長衛小屋のテントサイトは上下段合わせて約100張分あるそうで、よほど混雑しない限りは全て埋まることは無さそうだが、下段約50張は沢からの高さがそれほど高くなく、今回のように一晩中雨が降り続くような日に下段にテントを張るのは避けた方が良い気がした。そして地面が固くペグを打ち込むのは難しいため、テント場の石を使って固定するのがベターな方法だ。

 

 

 

 食事の後はトランプで遊び、翌日の支度をして睡眠をとった(山下メモ : トランプゲームをしたところで山下は永久大貧民の可能性が高いので’’sunset means bedtime’’でもいいのではないかと思った)

 

 

 

 

 

(2日目)

 

 

 

 3:30起床。夜通し激しく雨が降っていたが、そろそろ止むようだ。前日の夕食後に作っておいたサバサンドをほおばり、メンバー全員に差し入れしておいたサントリー新発売のエナジードリンク「南アルプスPEAKER Bitter Energy」を飲み(※宣伝ではない)、支度を済ませ出発する。今日のコースは北沢峠から小仙丈ヶ岳を経て仙丈ヶ岳に登り、藪沢カールから藪沢新道を大平山荘まで下って北沢峠に戻る、一般的な仙丈ヶ岳登山の周回コースだ。

 

 

 

 ヘッドライトを点けて北沢峠から入山する。途中ぬかるみも多く、スピードは出しにくい。深い木々の間から日の出を迎え、ライトを消して歩き続けていると急に高木が消え、視界が開けた。森林限界分かりやすい。仙丈ヶ岳の前衛小仙丈ヶ岳の山頂を目指し進んでいくと、登山道の両脇のハイマツ林から熊の好物グミの実が飛び出している。もっとも、2,500m以上の高所で黒色系の熊を見た話はあまり聞かないが。(カナダ旅行時に聞いた数値なので日本のツキノワグマに関しては正確には分からないが、)冬眠前の熊が仮にグミの実のみで栄養を蓄えようとすると、20万粒ほど食べなければいけないとか。冬眠するのも決して簡単ではないのだ。ところで心配だった雲の量は、稜線伝いに小仙丈ヶ岳の頂上に到着する頃には(甲斐駒の一部が見えるほどまで)減っていて期待が持てる。休憩も短めに、左右に展開する色々な大きさのカールの縁をなぞるように進み、稜線沿いにいくつかのニセピークを越えていくと、無事に仙丈ヶ岳の山頂に到達した。とはいっても絶頂感は無く、氷食の結果形作られた最高点といった感じで、よく言われる「南アルプスの女王」の山頂のイメージ通り。花崗岩質の鋭峰をいくつも持つというお隣の鋸岳~夜叉神峠の山脈とは対照的だ。山頂からの展望はまあまあといったところか。彼方に中央アルプスの山並みが見え、他の山は全て雲海の下にうずめられている。風もあまり無く雲が減りそうな気もしないので、写真だけ撮って下山開始。

 

 

 

 半袖で歩いているのをすれ違う人に驚かれたり感心されたりしながら稜線を下り、脇の斜面から仙丈小屋に下りた。正面に藪沢カールを望む小屋でバッジを購入した後、藪沢に沿って付けられた道を下る。どこかのガイドブックに増水時危険な道との記載があった気がするが、よほど増水しなければ通行可能だろう。ストックを使って器用に歩いてゆくつもりだったが、登り登山者を待つ間に転んで肘を擦りむいてしまい、絆創膏で隠す。かれこれ10年ほど使っているものの、ストックの扱いにはまだ練習が必要かもしれない。その後藪沢大滝の近くで休憩中、遠くの雲が一瞬途切れ、本行程中初めて甲斐駒の頂上部が顔を出した。お化粧をしたかのように白くピラミダルな山容に歓声が上がる。さらに下っていくと沢から離れ、樹林帯の坂道に差し掛かった。苔と奇妙な茸に彩られた道をひたすら下っていく。あともう数週間後に来れば食用の茸も顔を見せていただろうか。

 

 

 

 明るい樹林帯を下ること1時間弱、目の前に荒れ気味の車道が現れ、大平山荘の前に出た。そこから山道と車道を辿り、北沢峠を経て長衛小屋に帰還。テントを撤収して早めに北沢峠のバス待合室に向かい、山行の締めは大富豪。バスの乗車時間は2本合わせて2時間15分とかなり長いので、山行の記憶を忘れないように文章にまとめた。16時過ぎに甲府駅で解散。

 

 

 

 

 

(感想等)

 

 

 

 まず何よりも先に悔やまれるのは、天候の都合で甲斐駒ヶ岳への登山が中止となったこと。初めての南アルプス登山ということで、山域の魅力を存分に享受したいところではあったが、天気ばかりはどうしようもないので次の機会を待ち望むとしようか。しかし、仙丈ヶ岳のみとなると随分と簡単に行けるものだ。北沢峠への林道が開通する前の山梨側からの仙丈ヶ岳登山は、白州の駒ヶ嶽神社から黒戸尾根を登って甲斐駒ヶ岳を越え、北沢まで降りてまた登り返すというなかなか過酷なものだったと聞いているが、今回の登山の所要時間は約6時間。正直あっという間で、全員体力的に物足りなさが残るほどだった。ただ、長く辛いものだけが登山ではないだろうし、2日目の行動では(全体的に慌ただしいながらも)仙丈ヶ岳が女王たる所以の山容、植生を所々で愛でることができ、翌日からの大学の秋冬学期を始める糧となる有意義な山行だったと思う。個人的にはテント設営にまだ不慣れだったという反省点はあったものの、2日間の行程を無事に完遂できて何よりで、計画立てから山行直前の天候判断までベストを尽くしてくださったCLSLの先輩にここで感謝を表したい。

 

 

 

 最後に、12月に仙丈ヶ岳を再訪する予定である雪山登山班の先輩方の安全と無事の登頂を祈ります。

 

 

 

 

仙丈ヶ岳山頂から。左奥に中央アルプスの山々 (9/16 7:45 撮影者 : 山下)

 

 

仙丈小屋前広場から秋の藪沢カールを見上げる (9/16 8:07 撮影者 : 山下)